国と国民とのあいだの差異性と、イスラエルについての論争

 なんで、世界のいろいろな国において、イスラエルへの批判の声がおきているのだろうか。

 パレスチナに暴力をふるう。パレスチナに暴力をふるうことを批判する声が、世界のいろいろな所でおきている。

 イスラエルを見てみると、国と国民が必ずしも同じではない。差異性がある。すべての国民が、イスラエルの国がやっていることを良しとしているわけではないだろう。

 パレスチナに暴力をふるっているイスラエルでは、国と国民とのあいだに差異性がありそうだ。国と国民がぴったりと完全に類似性によっているわけではない。

 アメリカや日本なんかはイスラエルを良しとしている。アメリカや日本なんかの、イスラエルではないほかの国においても、国と国民とのあいだに差異性がおきている。差異性を見てとることがなりたつ。

 かくあるべしによっているのがイスラエルだ。かくあるべしの当為(とうい)によっている。パレスチナに暴力をふるうべきだとしているのがイスラエルだ。パレスチナにいる暴力主義者の集団をやっつける。

 アメリカや日本なんかも、かくあるべしの当為によっている。イスラエルを良しとするべきだとしているのがアメリカや日本だ。

 イスラエルだけではなくて、それ以外のほかの国もまた、国が上からかくあるべしの当為のあり方をとっている。国によるかくあるべしの当為とはちがっているのが、人々がイスラエルへ批判の声をあげていることだ。

 人々がイスラエルに批判の声をあげているのはかくあるの実在である。いろいろな考え方を持っているのが国民だから、国民の中にはイスラエルに批判の声をあげる人たちが少なからずいる。実在においてはさまざまな声があるのである。

 中国やロシアなんかは、国がイスラエルのことを批判している。イスラエルを批判しているのがあるけど、国が上からかくあるべしの当為によっているのはいなめない。イスラエルパレスチナに暴力をふるうのを止めるべきだとか、暴力をふるうのは許されるべきではないのだとしているのが中国やロシアだ。

 かくあるべしの当為では、内容としてはアメリカや日本なんかはまちがっている。中国やロシアなんかは正しい。(あらゆることがらについてではなくて)あくまでもイスラエルのことにかぎっていえばそう見なすことがなりたつ。

 内容についてである実質論ではなくて形式論で見てみると、イスラエルはかくあるべしの当為によっている。それ以外の国もまた、かくあるべしの当為によっているのだ。イスラエルのことを良しとするのにせよ批判するのにせよ、ほかの国もまた形式においては当為のあり方である。

 世界のいろいろな国において示威(しい)の活動がなされている。示威(demo)の活動がなされているのを重んじるようにしてみると、かくあるべしの当為によるのはのぞましくない。実在のところに価値を置く。実在を良しとして行くことがいるのだと見なしてみたい。

 形式においてかくあるべしの当為を良しとしてしまうと、へたをするとアメリカや日本のようになってしまう。うまくすればイスラエルのことにおいての中国やロシアのようになることがあるが、国が上からかくあるべしの正しさを下に押しつけるのはのぞましいこととはしづらい。

 世界の中には色々な国があるけど、その中でアメリカが絶対に正しいのだとは言えそうにない。いついかなるさいにも、どのようなことでも常にアメリカが正しいとはしづらいのがあり、アメリカの正しさを基礎づけできそうにない。正しいものなのがアメリカなのだとは基礎づけたりしたて上げたりできないのがある。

 世界の国のありようを見てみると、かくあるべしの当為であるよりも、かくあるの実在のありようになっているのがうかがえる。アメリカの正しさを基礎づけできないのがあり、反基礎づけ主義なのがある。

 一極のあり方で、アメリカが常に正しいのであれば基礎づけ主義がなりたつ。世界において一極のあり方が崩れていて、多極化している。基礎づけ主義がなりたちづらい。反基礎づけ主義のあり方になっている。アメリカは常にまちがっているとか常に悪いとも基礎づけることはできないから、アメリカを負とする基礎づけ主義もまたなりたちづらいのがある。

 実在においてはイスラエルのことを良しとする国もあれば、批判する国もまたある。当為としてイスラエルのことを良しとするべきだとはしづらい。かくあるの実在のところを見てみれば、イスラエルのことを批判する国もあるのだから、批判する国にも目を向けることがいる。

 たとえイスラエルのことを批判する国があるのだとしても、国がかくあるべしの当為を上から下に押しつけるのは良いあり方ではないことに気をつけたい。形式としては、かくあるべしの当為であるよりも、かくあるの実在のところに重みを置くほうがよい。

 参照文献 『増補 靖国史観 日本思想を読みなおす』小島毅(つよし) 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信構築主義とは何か』上野千鶴子編 『現代思想を読む事典』今村仁司