アメリカは、他国にたいして悪いことをしないのか。
民主主義の国なのがアメリカだ。
民主主義はよいものなのだから、アメリカはほかの国にたいして悪いことはしない。ほかの国を民主化して行く。アメリカの民主主義を外へと広めて行く。
ベネズエラの国の権力者をつかまえたのがアメリカだ。ほかの国の権力者をアメリカがつかまえたことには、批判の声がおきている。国際の法の決まりに反する行ないだとの声が言われている。
自分の国の権力者を、アメリカがつかまえたことで、ベネズエラの人たちはみんながみんな喜んでいるのかといえば、そうとは限らないという。アメリカがベネズエラにたいしてやったことによって、ベネズエラが民主化されるのだといった受けとり方は、必ずしもされていないようだ。
民主主義の国なのがアメリカではあるけど、それはうわべのものである。うわべの体制はそうだけど、その体制のありようをよりしっかりと見て行く。体制のありようを見て行くと、民主主義の体制でありながらも、独裁や専制(fascism)のありようになっている面があるのがいまのアメリカだろう。
よいあり方の国なのがアメリカなのだから、ほかの国にたいしてよいことをやるのにちがいない。ほかの国を民主化するはずだ。そう言えるのであれば、それはかつてのナチス・ドイツにも同じことが当てはまる。
あり方としては、すごくよかったのがナチス・ドイツだ。悪かったのは、人としてのアドルフ・ヒトラーである。政治家であるヒトラーは悪かったけど、かつてのドイツのあり方はよかったのがあり、そこが今のアメリカと似ているところだろう。
その当時の、世界でもっともすぐれた憲法をもっていたのがかつてのヒトラーが権力者だった時のドイツである。かつてのドイツは、世界でもっとも進んでいると言われるほどのよい憲法をもっていたけど、それでも悪い政治家であるヒトラーが出てきてしまった。
ナチス・ドイツがほかの国にたいして悪いことをやったのと同じように、いまのアメリカもほかの国にたいして悪いことをやるおそれがある。必ずしもほかの国を民主化するようなことをやるとは限らない。
いまのアメリカはナチス・ドイツと同じくらいに悪いかどうかは分からない。悪さのていどは正確にはわからないけど、選挙で民主によって選ばれたのがヒトラーなのがある。
世界において輝かしいほどにすぐれているのがドイツだ。そう言っていたのがヒトラーの時のドイツである。いまのアメリカも、世界においてもっとも輝かしい国であるのだと言う。世界の輝かしい国としてのアメリカを、ふたたびとり戻す。
中国やロシアとはちがい、アメリカはよい国だ。うわべとしては、中国やロシアとはちがっていて、よい国なのがアメリカだとできそうではあるけど、そうとは限らない。アメリカはうわべの体制はよいけど、その体制のありようをよくよく見てみると、秩序のあり方として、専制主義へと横すべりしている見こみがある。
専制主義なのだったら、アメリカは中国やロシアとさして変わらないことを示す。民主主義か専制主義(原理主義)かといったほどのちがいがない。専制主義になっているのだったら、ほかの国にたいして悪いことをやったとしてもそれほど不思議ではないことになる。
分かりやすいのは、悪いあり方から悪い政治家が生まれることだ。中国やロシアのような悪いあり方から、悪い政治家が出てくる。かつてのソヴィエト連邦から、ヨシフ・スターリンのような悪い独裁者がおきてくる。
悪いところから悪いものがおきるのだったら分かりやすいけど、良いところから悪いものがおきるのは分かりづらい。アメリカは分かりづらいことになっていて、良いあり方から悪い政治家が出てきている。よいあり方からよい政治家が出てきていないのがいまのアメリカだろう。
ヒトラーはよいあり方から悪い政治家が出てきたことによる。分かりづらいところがあったのがヒトラーである。スターリンだったら、悪いあり方から悪い独裁者がおきたものだから、少しわかりやすさがある。そうはいっても、スターリンは国内で人々からあるていど支持されていたのがある。スターリン主義だ。
良いものと悪いものの見分けがつきづらい。分類の線がゆらぐ。しっかりとした線を引きづらい。実線を引けなくて、破線になる。両義性をもつ。行動者とその相手とのあいだの線をしっかりと引けなくなる。表象(representation)することの相対性である。客観や本質なのとはちがう。心の中の像(image)を外に表現することなのが表象だ。
アメリカはよい体制なのだとはいっても、そこからとんでもなく悪い政治家が出てこないとも限らない。かつてのドイツはすごいよい憲法をもっていたけど、そこからとんでもなく悪い政治家であるヒトラーがおきてきた。
いまの時代の独裁は、ありようとしては民主主義だけど、じっさいには悪い。悪い政治家を生んでしまう。分かりづらいふうなのが今の時代である。たとえその国が民主主義によっているのだとしても、そうであるからといって独裁なのではないと結論することは必ずしもできないのがある。
よいとされている国であったとしても、悪いところがおきてしまう。アメリカがよい国なのだとしても、悪いところがまったくないとはできそうにない。負の点(dark side)をもつ。国家主義(nationalism)などである。
よい点ばかりではなくて、悪い点をもっているのがアメリカだろう。悪い点をもっているのがアメリカだから、ほかの国とのあいだでよい形での橋わたし(bridging)ができていない。お互いに国どうしでうまく橋わたしができていなくて、アメリカが一方的にほかの国に力によって言うことを聞かせる。
力の宗教なのがアメリカである。アメリカが持っている大きな力があり、それによってほかの国に言うことをきかせる。いくらアメリカがよいところを持つ国なのだとしても、軍事の力(hard power)によってほかの国に言うことをきかせるのは良いことではない。
暗い面をもつのが中国やロシアだろう。ナチス・ドイツも暗い面をもっていた。文化の力(soft power)において、ほんとうの意味あいでの厚みがうすい。何の厚みかといえば、社会関係資本(social capital)の厚みだ。
表面だけからすると、中国やロシアは悪い、アメリカはよい、とできる。表面からするとそうしがちだけど、本質をぎんみして行く。本質をぎんみしてみると、ほんとうの意味あいにおいては、中国やロシアだけではなくて、アメリカもまた社会関係資本の厚みがうすい。専制主義のあり方におちいっている見こみがある。
専制主義としては、全体主義、資本主義、共同体主義(communitarianism)だ。このさいの共同体主義は、いい意味でのではなくて、悪い意味においてのものだ。みんな同じ考えを持つことを強要する体制なのが、全体主義だ。
国、市場、共同体の三つが、おたがいにけん制し合う。抑制と均衡(checks and balances)の仕組みだ。国が中性であればよいけど、考えなどのよし悪しを上から決めるようだとよくない。市場では、経済において、疎外(そがい)が強まっている。資本主義のもつ悪い面である。疎外とは、遠ざけられることだ。商品の疎外、労働の疎外(疎外された労働)、人の疎外である。
共同体がいっぱいあって、そこに自由に人々が出たり入ったりできるのならよいけど、そうした中間の団体がへっていっている。社会関係資本の厚みがうすくなることになる。悪い意味での共同体主義がおきるのだとよくない。
のぞましい秩序のあり方になっているかどうかを見て行く。アメリカを見て行くと、資本主義がうまく行っていないところがあり、階層(class)の格差がおきているのがあるから、専制主義のところがある。一からつくり直すことがいるのがいまのアメリカだろう。脱構築(deconstruction)して行く。
国の中における階層の秩序の二項の対立がある。国を一からつくり直すさいには、階層の格差を改めることがいる。アメリカだったら、力の宗教だから、上の階層がとりわけ力をもつ。上の階層が力をもち続けてしまうけど、それを脱構築して行く。力の宗教のあり方をやめるようにして、下の階層をすくう。収だつされている階層や、従属している階層なのが下の階層(subaltern)であり、そこを救い出すことがいる。
参照文献 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『ヘンでいい。 「心の病」の患者学』斎藤学(さとる) 栗原誠子 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『脱構築 思考のフロンティア』守中高明 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『環境 思考のフロンティア』諸富徹(もろとみとおる) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『ヒトラーの正体』舛添要一(ますぞえよういち) 『スターリンの正体 ヒトラーより残虐な男』舛添要一 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『現代に生きるファシズム』佐藤優(まさる) 片山杜秀(もりひで) 『現代思想を読む事典』今村仁司(ひとし)編 『「戦争と知識人」を読む 戦後日本思想の原点』加藤周一 凡人会 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『原理主義と民主主義』根岸毅(たけし) 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『モノが語るドイツ精神』浜本隆志(たかし) 『社会階層 豊かさの中の不平等』原純輔(じゅんすけ) 盛山(せいやま)和夫 『政治家を疑え』高瀬淳一 『原理主義 思考のフロンティア』臼杵陽(うすきあきら) 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『市場 思考のフロンティア』金子勝(まさる) 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『境界線の政治学』杉田敦(あつし) 『ポケット図解 構造主義がよ~くわかる本 人間と社会を縛る構造を解き明かす』高田明典(あきのり) 『日本の難点』宮台真司(みやだいしんじ) 『超訳 日本国憲法』池上彰(いけがみあきら) 『個人を幸福にしない日本の組織』太田肇(はじめ) 『JAPAN UNMASKED : The Character & Culture of the Japanese』Boyé Lafayette De Mente 『組織論』桑田耕太郎 田尾雅夫