イスラエルとパレスチナの紛争を、止められるのか―停戦の可能性と、国際の政治においてやるべきこと

 中東で、紛争がおきている。

 いま起きているのが、イスラエルパレスチナの紛争だ。この紛争で、お互いに暴力が振るわれているのをどのように見なせるだろうか。

 可能性の芸術なのが政治だ。そう言われているのがある。ドイツの政治家のオットー・フォン・ビスマルク氏による。

 いま起きているのがイスラエルパレスチナのあいだの紛争だから、それは現実性(エネルゲイア)である。

 紛争が起きているのを、止めさせる。停戦させる。戦い合いを止めさせるのは、可能性(デュナミス)に当たる。

 政治においてやらなければならないのは、イスラエルパレスチナのあいだの戦い合いを止めさせることだろう。停戦させる。その可能性を探らなければならない。国際の政治ではそれがいる。

 イスラエルをよしとしているのがアメリカだ。ほかの欧州の国なんかもそうである。国際の政治において、やるべきことをやっているとは言えないのがアメリカだろう。きびしく言えばそうできそうだ。

 可能性の芸術としての政治を、アメリカは国際においてできていない。まともにやろうとしていない。それがアメリカだろう。イスラエルパレスチナのあいだの戦い合いを、アメリカはけしかけてしまっているのがある。

 アメリカを批判してみる。イスラエルを良しとしているアメリカを批判してみて、イスラエルパレスチナのあいだの紛争の、本質をぎんみして行く。それがいることだろう。

 本質をぎんみしてみると、アメリカはイスラエルを良しとして、パレスチナイスラム原理主義の集団を悪いものとしているけど、必ずしもそうとは言い切れそうにない。イスラエルにも悪いところがあり、パレスチナにも必ずしも悪くはないところがある。

 ぜったいに、イスラエルパレスチナのあいだの戦い合いを止めることができないとは言い切れそうにない。ぜったいに停戦させられないとは言い切れそうにない。もしかしたら、戦い合いを止められて、これ以上の人命が失われるのを防げるかもしれない。命は宝である。

 第三の道を創造する方法なのが、西洋の哲学の弁証法(dialectic)である。イスラエルを完全に良しとするのでもなく、パレスチナを完全に良しとするのでもない、第三の道を創造して行く。その一つに当たるのが、停戦させることだ。ひとまずは戦い合いを止めさせる。

 現実性としては紛争がおきてしまっているけど、可能性としては停戦させられるかもしれない。停戦させられる可能性がまったく無いとはかぎらず、その可能性はわずかではあってもあるとすることができそうだ。第三の道を創造できる見こみがある。

 イスラエルパレスチナに暴力をふるう。パレスチナに軍事の力をふるう。そのやり方だと、悪い形での第三の道の創造になってしまう。悪い形で第三の道を創造するのであれば、それよりかは、イスラエルパレスチナの、お互いの対立の点をはっきりさせたあり方のほうがまだよい。

 お互いが勝つ(win-win になる)ような第三の道の創造でなければならない。イスラエルが勝ち、パレスチナが負けるといったようなことだと、理想と言えるような第三の道の創造にはならない。そうかといって、いま起きているイスラエルパレスチナの紛争がつづくのは良いことではないから、できるかぎり早くに停戦に持って行きたい。

 現実性において紛争がおきているのは、決して良いことではないから、何とかして第三の道を創造して、停戦させることができればさいわいだ。

 軍事の力にものを言わせて、イスラエルパレスチナをこらしめる。暴力をふるって言うことをきかせるのだと、国のあり方としてまずい。国の中には、権力を批判する反対の勢力(opposition)が必要だ。イスラエルの国の中だったら、その中に反対の勢力があることがいり、国の権力に対抗するものが必要である。反対の勢力などの対抗するものが国の中にないと、よい形の第三の道を創造することができない。

 反対の勢力を力でつぶす。そういうやり方を、イスラエルパレスチナに対してやっているのだとすれば、国の政治のあり方としてよくない。

 パレスチナのことではなくて、そこから離れたところでも、国の政治のあり方が良いあり方であることがいる。反対の勢力があるようにして、それを否認しないようにする。反対の勢力を承認して行く。国の中に、対抗するものがいるのを許す。そうしたあり方でないと、よい形の第三の道の創造を行なえない。

 参照文献 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『十三歳からの日本外交 それって、関係あるの!?』孫崎享(まごさきうける) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『構築主義とは何か』上野千鶴子