自由主義(liberalism)からの考察:イスラエルとパレスチナの関係

 パレスチナに自由を。パレスチナを自由にせよ。イスラエルへの批判で、それが人々によって言われている。

 イスラエルに暴力をふるわれて攻撃されているのがパレスチナだ。自由にすることがいるのがパレスチナだが、自由についてを改めて見てみるとどういったことが見えてくるだろうか。

 自由にすることがいる点では、パレスチナがまずある。それにくわえて、パレスチナに暴力をふるっているところのものであるイスラエルにもまた、自由をもち出すことがなりたつ。

 イスラエルに自由を。イスラエルを自由にせよ。そう言うこともできるかもしれない。このさいの自由は、自由主義(liberalism)によるものだとしてみたい。中立な立ち場から判断する思想なのが自由主義だ。

 何々への自由は積極の自由である。何々からの自由は消極の自由だ。イスラエルへの自由だけではなくて、イスラエルからの自由もいる。イスラエルにおいて、イスラエルからの自由である消極の自由があるかどうかはだいじだ。何々への自由である積極の自由があるだけではよいあり方ではない。

 どうしてイスラエルパレスチナに暴力をふるって攻撃をしているのだろうか。そのわけとしては、パレスチナイスラム主義の集団が専制主義によっているのがある。悪い意味での共同体主義になっている。

 暴力をふるう正当な理由になるものではないけど、専制主義であるのならば、それは批判されるべきではある。パレスチナイスラム主義の集団が専制主義になっていて、悪い意味での共同体主義になっているのであれば、その共同体は批判されることがいる。

 国の中に悪い共同体があるのであれば、それを国が批判することがあってよい。たとえ専制になっている悪い共同体が国の中にあるのだとしても、それにたいして国が一方的に暴力をふるってよいとは必ずしもいえそうにない。よほどのことがないかぎりは、原則として暴力の手だてを国は使うべきではない。

 国の悪さと、共同体の悪さがある。あと経済の悪さもまたある。経済の悪さは、行きすぎた資本主義である新自由主義(neoliberalism)などだ。市場主義によりすぎるものである。

 三つのものである国と共同体と経済が、たがいに批判し合う。国が悪いのであれば、共同体や経済がそれを批判して行く。共同体が悪いのであれば、国や経済がそれを批判することがあってよい。経済が悪いのであるならば、国や共同体がそれをさし示して、改善をうながす。

 イスラエル専制のあり方になってしまっていて、自由主義の点からするとそこがよくない。それとともに、パレスチナイスラム主義の集団も専制のあり方になっていて、悪い意味での共同体主義になっているのがある。

 二つの主体がいて、一つは国であり、もう一つは共同体だ。主体としての国は、行動者として、客体である相手へ暴力をふるう。客体としての共同体に暴力をふるっている。主体としての国が用いている手段が暴力なのがあるから、用いている手段がよくない。

 主体としての共同体は、客体としての相手へ暴力をふるう。客体としての国(イスラエル)へ暴力を振るっているのがある。主体としての共同体が用いている手段が暴力なのがあるから、そこは悪い。主体としての共同体が用いている手段はよくないものだ。

 一方の主体だけが、悪い手段を用いているのではない。二つの主体のどちらもが悪い手段を用いていて、比べてみると主体としての国のほうがより大きな暴力を用いている。

 主体としての共同体よりも、主体としての国のほうがより大きな暴力をふるう。国は公の国の装置(軍隊や警察など)を持っているからだ。その地域の暴力を独占しているのが国である。公の国の装置の有無のちがいをくみ入れると、より強い理由(a fortiori)によって批判されることがいるのが、主体としての国である。

 パレスチナにたいしてイスラエルが暴力をふるって攻撃しているのを、止めさせる。そのためには、一つにはイスラエル自由主義によるようにして行く。イスラエルに自由を、とできるのがありそうだ。

 イスラエルにおいて自由化や民主化をすることがいる。イスラエルを自由にせよとか、イスラエルに民主主義をとできるのがあり、国や共同体(や経済)の専制のあり方を改めて行くことが必要だ。政治においての自由では、国が反自由の政治になっているのだとすれば、それを改めるようにして行きたい。

 参照文献 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん)