格差と差別を改善するための贈与の原理

 すぐに被災した地へ行く。政治家が、すぐに被災した地に入る。

 野党の政治家で、すぐに被災した地に行った政治家がいる。野党のれいわ新選組の代表である山本太郎氏などだ。

 こんかいの能登(のと)半島の大きな地震で、すぐに被災地に行った野党の政治家は、色々とうったえている。被災した人たちへの助けが弱い。助けが手うすなことをうったえているのである。

 災害がおきて、その初動がおそい。助けの手が手うすくて弱い。そのことを野党の政治家がうったえているのを、どのように見なすことができるだろうか。

 衣食住がある。災害で被災した人たちの、衣食住の手助けを手厚くしたい。理想論としてはそうしたいのがあるけど、現実論としては財源がどうなのかがある。財政がきびしいのがいまの日本だ。超高齢の社会だからだ。

 被災した人たちへの食の助けがある。食の助けがとぼしいのが言われている。お弁当みたいなのが与えられるけど、白いご飯に、おかずがほんの少ししかない。おかずとして(小さめの)シュウマイみたいなのが二つだけだ。あとはスパゲティみたいなのが少しだけついている。

 衣食住で、被災した人たちへの助けとして、その三つのぜんぶを手あつくしたい。できれば三つのぜんぶを手厚くしたいのがあるけど、現実論としてそれらが手うすい。それを批判しているのが野党の政治家だ。

 野党の政治家は、被災した人たちへの助けが手うすいのを批判していて、それをもっと改善せよとうったえる。そのことが意味しているのは、不幸の認識だ。不幸や不遇(ふぐう)があって、それに見まわれている人たちがいる。

 不幸や不遇に見まわれている人は、認識をもつ。何かを認識するのは、すごい幸福なときにはできづらい。何かの不幸や不遇におちいっていると、認識をもちやすいのである。

 不幸や不遇がある。暗さがある。そのいっぽうで幸福や明るさがある。日本の主流や多数派は、どちらかといえば幸福や明るさを好む。不幸や不遇や暗さを避ける。テレビ番組では、娯楽の番組が多すぎる。娯楽の番組はよくできていて見ていて楽しいのはよいのだけど、問題の解決の情報をあつかう番組が少なすぎるのがまずい。

 栄光がある。明るさだ。日本の国の栄光や、与党である自由民主党の栄光がある。負けていなくて勝っているのが自民党だ。一強(と多弱)である。暗さでは、呪われた部分がある。社会の中の呪われた部分があり、うつろなひびきをたてている。表面の明るさのうらにおいてである。

 自民党は日本の主流や多数派だ。日本の中心にあるのが自民党であり、幸福や明るさによりがちだ。不幸や不遇や暗さを避けてしまっている。

 認識が弱いのが自民党である。こんかいの能登半島の大きな地震では、被災した人たちがどういう困りごとや苦しさを抱えているのかがある。被災した人たちの負のことがらを認識するのが弱いのが自民党である。

 自民党とはちがって、認識が強いのが野党の政治家だ。認識をしっかりと持てているのが、被災した地にすぐに行った野党の政治家である。たとえすぐに被災した地に行ったのではなかったとしても、野党の政治家の中には、認識をしっかりと持てている人たちがいる。

 助けの手が手うすいことを批判して行く。野党の政治家がなぜそれをやるのかといえば、認識をしっかりと持てているからだろう。認識が弱い自民党の政権にたいして、批判をして行く。それをやらないと、不幸や不遇におちいっている人たちが救われづらい。

 まったく何にも救おうとしていないのが自民党なのだとは言えそうにない。少しも救おうとしていないとは言えないのがあるけど、認識が弱い。幸福や明るさによりがちなのがある。価値観としては、市場の原理主義新自由主義(neoliberalism)なのがあり、自己責任論によっている。お金を払うことによる市場(等価)の原理によっていて、贈与の原理が弱い。

 新自由主義は強いけど、自由主義(liberalism)が弱いのが自民党だ。中立な立ち場から判断する思想なのが自由主義だ。自由主義がよわいから、専制主義におちいっているところがあるのがいまの日本の国の政治だろう。国家主義(nationalism)になっているのである。国の公が肥大化して行く。個人の私が抑えつけられて、弱められてしまう。政治の右傾化だ。反自由の政治がなされている。

 市場の原理によりすぎていて、贈与の原理が弱いのがあるから、不つり合いになっている。効率がよいのが市場の原理ではあるけど、それによりすぎると差別が引きつづく。格差が改まらない。恵まれている優の階層(class)と、恵まれない劣の階層が固定化してしまう。

 劣の階層への差別を改めることがいる。日ごろの秩序のあり方が見直されるべきだ。日本の統治(governance)のあり方を問いかけて行く。贈与の原理を強めて行くのがなされたらよい。被災した人たちを含めて、生活に困窮(こんきゅう)している人たちを否認しないようにする。生活に困窮している人たちが承認されて、そこへ配分がなされればさいわいだ。

 参照文献 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『社会階層 豊かさの中の不平等』原純輔(じゅんすけ) 盛山(せいやま)和夫 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『脱構築 思考のフロンティア』守中高明構築主義とは何か』上野千鶴子編 『十八歳からの格差論 日本に本当に必要なもの』井手英策(えいさく) 『貧困と格差 ピケティとマルクスの対話』奥山忠信 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『事例でみる 生活困窮者』一般社団法人社会的包摂サポートセンター編 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『社会的排除 参加の欠如・不確かな帰属』岩田正美 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『差別原論 〈わたし〉のなかの権力とつきあう』好井裕明(よしいひろあき) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『効率と公平を問う』小塩隆士(おしおたかし)