新しい保守の政党がつくられた―日本の保守の政党(特殊)と、憲法(普遍)

 新しく、保守の政党がつくられた。

 保守の政党が新しく作られたのを、どのように見なせるだろうか。

 日本保守党が作られたけど、保守であるよりも、極右だとする見かたもあるようだ。

 右傾化しているのが日本だから、保守の政党をつくったら、それなりの支持を得られるかもしれない。野党の日本維新の会(第二自由民主党)がそれなりの支持を得ているのは、右傾化の流れに乗っかっているからだろう。

 どのような政党を作るのも自由だ。どのような政党を支持するのも人それぞれの自由だろう。政治における自由があるから、保守の政党だからといって、必ずしもだめなものだとはいちがいには言い切れそうにない。革新の政党も同じである。ただし、あまりにもかたよった思想だと、極右や極左となるから、まずいところがおきてくるかもしれない。

 政党の名前である、日本保守党の、日本と保守の二つに目を向けてみたい。日本と保守は、それぞれが客観に悪いものではない。客観に悪いものではないけど、法の決まりの点では、悪さをもつ。

 特殊なところが強いのが日本の国だ。固有の性質をもっているのが日本であり、普遍が欠けている。つねに当てはまる性質なのが普遍だ。

 総合で悪いとは言えないのが日本や保守だけど、あくまでも法の決まりの点にかぎっていえば、悪いところがある。普遍の法の決まりによるのではないあり方になりやすいのが、日本や保守のあり方だ。

 どういうことを、新しく作られた保守の政党である日本保守党について予想できるのかといえば、こう見なせそうだ。あくまでも主観の予想にすぎないが、普遍の法の決まりがいちじるしく欠けたあり方になる。特殊さにかたよったあり方だ。普遍の価値を否定してしまう。近代の立憲主義自由主義(liberalism)がこわれてしまう。

 普遍の価値を否定して、特殊さにかたよると、その集団は色々な不祥事(ふしょうじ)をしでかしやすい。政治において不祥事といえば、それをたくさんやっているのが与党である自由民主党だ。第二自民党である野党の維新の会なんかも不祥事が目だつ。悪い報道で、しばしば(ひんぱんに)とり上げられるのが維新の会の政治家だ。自民党や維新の会は、集団のまっとうな統治(governance)ができていない。

 普遍の価値をもつのが、いまの日本の憲法だ。保守の政党だと、憲法をあたまから否定してしまいがちだ。普遍の価値を否定してしまう。そうであると、独裁主義や専制主義になる。国家主義(nationalism)が強まり、国の公が肥大化して行く。個人の私が弱められてしまう。

 いっけんすると、日本であるとか保守であるとかをうたっているのは、良いようにひびく。よく響くのはあるけど、法の決まりの点に限っていえば、悪くなりやすい。日本だから良いとか、保守だから良いとはならないのである。それは、与党の自民党や野党の維新の会なんかを(きびしく批判として)見ればわかりやすい。

 脱日本であるとか、革新であったほうが、普遍の価値によりやすい。日本の特殊なあり方から脱することができやすいので、国が悪い方向につっ走るのを防ぎやすくなる。

 普遍の価値をもつ憲法を重んじれば、それが原理になるから、その政党(や政治家)がどういうことをするのかを予想しやすい。予測がつく。革新の政党ならそれがのぞめる。

 右傾化の流れに乗っかる。より支持を得やすくする。より勝ちやすくする。支持を得られれば何でもありだとか、勝てれば何でもありだといったことだとまずい。それだと原理がないあり方だ。保守の政党だとそうなりやすい(革新の政党でもそれがある)。悪貨は良貨を駆逐することになり、グレシャムの法則がはたらく。

 日本の政治で悪貨が力を持たないようにするためには、良貨である、普遍の価値をもつ憲法を重んじて行かないとならない。良貨だと、支持を得られづらく、勝ちづらいのが日本のありようだ。悪貨のほうが、支持を得られやすく、勝ちやすい。その中で、できるだけ普遍によるようにしていって、普遍の価値をいまいちど見直すようにして行きたい。

 参照文献 『右傾化する日本政治』中野晃一 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『法律より怖い「会社の掟」 不祥事が続く五つの理由』稲垣重雄 『「戦争と知識人」を読む 戦後日本思想の原点』加藤周一 凡人会 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『歴史を繰り返すな』坂野潤治(ばんのじゅんじ) 山口二郎 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『ナショナリズム(思考のフロンティア)』姜尚中(かんさんじゅん)