政策づくりの難しさと科学(のゆとり)の重要性:自民党の課題

 はばつをなくす。政策の集団に改めて行く。自民党はそう言う。

 うら金をためこむ。その悪さをなくすために、派閥(はばつ)をなくして、政策の集団にして行く。それをやることが、自由民主党にできるのだろうか。

 記号の点から見てみたい。呼び名としての派閥は記号の表現だ。派閥と呼ばれるところのものは記号の内容だ。

 言葉の音の面が記号の表現だ。言葉の内容の面が記号の内容だ。

 必然として結びついていない。記号の表現と記号の内容は、必然の結びつきを持たない。気ままな結びつきなのである。

 気ままに結びついているだけだから、同じ集団についてを派閥と呼ぶこともできるし政策の集団と呼ぶこともなりたつ。たんに記号の表現を変えただけである。

 同じものをちがう記号の表現で呼ぶ。それだと、交通の様態(mode)でいえば双交通だ。たがいに双方向のものなのが双交通である。交通論による。

 派閥は悪いもので、政策の集団は良い。それだったら、交通の様態(ようたい)では反交通だ。交通がさえぎられていて、あいだに線を引ける。

 反交通なのではなくて双交通なのが、派閥と政策の集団だ。反交通でたがいの間に線を引くことができない。派閥から政策の集団にして行くのだとしても、たがいに双交通なのだから、派閥が残りつづけることになってしまう。

 いまとかつての間のいまかつて間の交通で見てみると、かつてにおいて、派閥をなくすことが言われていたという。派閥は悪さがあるからなくす。かつてにおいてそう言われていて、それでも派閥がなくならず、いまにいたっている。いったんは無くなりかけた時期があったかもしれないが、なぜかまた復活して、いまにいたる。

 派閥は置いておくとして、政策の集団に目を向けてみたい。政策の集団の政策のところをとり上げてみると、それへの動機づけ(motivation)がある。

 政策への動機づけがある。政治家はそれを持ちづらい。政治家が動機づけを持ちやすいのは、お金と票だ。それらへの動機づけは高い。そこから、(政策の集団ではなくて)派閥が力をもつことになる。

 お金と票は、外発の動機づけだ。外発の動機づけがうんと高い。そうなると、内発の動機づけが弱まってしまう。政治家はそうなりがちだ。

 利益を得ようとするのが外発の動機づけだ。たとえ利益はあまり得られなくても、それそのものへ興味をもつ。それが内発の動機づけだ。

 短期の利益に走る。功をあせる。それだと外発の動機づけが高まる。内発の動機づけがおとろえてしまう。そこから、政策の集団から派閥へとだらくすることがおきる。退廃(decadence)がおきるのである。

 語り(カタリ)によるのが政策の集団の呼び名だろう。うわべの語りにすぎないのである。お金と票につながらないことはやりたがらない。うわべでは政策を語りはするけど、それは見せかけにすぎない。

 政策を作る。そのためには長期の視点がいる。法の決まりをしっかりと守って行く。いまの日本の憲法をしっかりと守って行く。それをやらないで、憲法をこわそうとしているのが自民党の政治家だ。

 憲法をしっかりと守って行く。法の決まりをしっかりと守って行くようにしないと、長期の利益にならない。短期の利益に走り、功をあせるのだと、政策の集団が派閥にだらくして行く。退廃(たいはい)がおきる。

 政策を作ることの難しさがある。いともたやすくそれを作れるのだとするのはあやまりだろう。いまの時代は政策を作りづらい。政策を作って行くためには、科学のゆとりを持たなければならない。科学のゆとりがいちじるしく欠けていて、冗長性(redundancy)が欠けているのが自民党だ。自民党にかぎらずほかの政党にもそれがある。

 科学のゆとりをもつ。冗長性(じょうちょうせい)をもって行く。政策を作って行って、(はばつから)政策の集団にして行くためにはそれらがいる。長期の視点をもつようにして、長期の利益をさぐって行く。短期の利益に走らないようにする。憲法をしっかりと守って行くようにしないとならない。

 参照文献 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ) 『哲学塾 〈畳長さ〉が大切です』山内志朗(やまうちしろう) 『政治家を疑え』高瀬淳一 『シンクタンクとは何か 政策起業力の時代』船橋洋一 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『学ぶ意欲の心理学』市川伸一 『創造力をみがくヒント』伊藤進 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『超訳 日本国憲法池上彰(いけがみあきら) 『中高生のための憲法教室』伊藤真(まこと) 『科学的とはどういう意味か』森博嗣(ひろし) 『記号論』吉田夏彦 『法哲学入門』長尾龍一構築主義とは何か』上野千鶴子