政治の二大の要点としての、お金と語り(カタリ)――政治の刷新(さっしん)

 お金と語りがある。政治の二大の要点である。

 政治の刷新(さっしん)の本部をおく。うら金の捜査のことで、与党である自由民主党はそれを定めた。

 お金と語りの点から、自民党の政治刷新本部についてを見てみるとどのようなことが見えてくるだろうか。

 野党である日本維新の会(第二自由民主党)もまた、政治改革本部をさだめた。政治の改革をさぐるものだろう。

 政治刷新本部の、政治のところに目を向けてみる。政治とは何かで、それはお金と語りによっている。二大の要素としてそれらがある。

 刷新とはいっているけど、刷新の新をとり上げてみたい。新しいのではなくて、古い。本部の中の政治家が、古いのである。よどんだ古い空気である。権力をもった古い政治家たちによるのが本部である。新しい空気を入れるのでないと刷新はできそうにない。

 広い意味でのお金がある。これはじっさいのお金だけではなくて、価値のことだ。自民党は、お金の配り方がおかしい。具体としていえば、人事がおかしいのだ。人事権の使い方がわるい。つまり、お金の使い方が変なのである。そこを正さないとならない。

 ばっぽんとして、根本からお金の使い方を正さないとならないのが自民党だろう。それがのぞめそうにないのが政治刷新本部だ。本部に選ばれた政治家たちが、みんなお金の使い方がへんな政治家だらけなのである。へんなお金の使い方で選ばれている政治家ばかりなのだから、政治を正しようがない。

 語りに気をつけなければならない。政治家の語りに気をつける。維新の会なんかは、政治改革本部を定めるとしているけど、その中の改革のもんくに気をつけることがいる。改革はしばしば政治で言われることがあるけど、これは語り(カタリ)のことが多い。そのまま丸ごとうのみにはできづらい。

 かなりおかしな語りになっているのがいまの日本の政治だろう。そこを改められれば良い。うそがへいきでまかりとおってしまう。政治でうそがへいきで言われるのはかなり危ない。日本の政治はそうなっているところがあり、その危なさを見逃すことはできそうにない。

 お金、つまり価値の配り方がおかしくなっている。具体としては、国家主義(nationalism)のお金の配り方になっている。右傾化だ。そこを改めるようにしないと、日本が戦争につき進んではめつするおそれがある。戦争ではなくても、何かではめつしてしまう。はめつを防ぐには、抑制と均衡(checks and balances)をかけるようにしないとならない。自由主義(liberalism)だ。

 中立な立ち場から判断する思想なのが自由主義だ。自由主義がこわされているのがいまの日本の政治だ。こわされてしまっているのがあるから、それを改めて、自由主義によるようにして行く。

 しっかりと抑制と均衡(よくせいときんこう)をかけて、権力を監視(watch)して行く。きびしく見て行く。自民党にだけ甘い、甘えの構造をなくして行く。これまでの古い政治のあり方から脱するには、それが一つにはいりそうだ。

 視点を転じてみる。その試し(test)をやるようにしたい。自由主義ではその試しをすることがいる。視点を転じてみて、下の国民に許されないことなのであれば、上の自民党にだけ許されるのはおかしい。下の国民にはきびしいのに、上の自民党にだけ甘いのはおかしい。野党にはきびしいのに、与党の自民党に甘いのはよくないことだ。

 特権をもつのが自民党だろう。特権は、普遍化することができない差別だからよくない。普遍化できない差別をなくす。自由主義ではそれがいる。特権を手ばなす。視点を転じる試しをやってみて、普遍化できないようなものであれば、それをなくす。つねに当てはまる性質なのが普遍である。固有の性質なのが特殊だ。

 どういうふうにお金を配るか。お金の配り方だ。配り方では、配分の正義がある。自民党にばかり多くお金が配られるのはよくない。もっと野党などの反対の勢力(opposition)にお金を配って行く。このさいの野党は、与党の補完の勢力(第二自民党など)をはずしたものだ。

 野党を排除しない。否認しない。承認して行く。客むかえ(hospitality)である。承認の正義だ。野党などの反対の勢力を承認して、そこへお金(価値)を手あつく配分して行く。日本の政治ではそれがいる。おもてなしや客むかえをやらないとならない。

 日本の外や内にいる、日本にとっての他者と交通(communication)し合う。外交や内交をしっかりとやって行く。あいも変わらず戦前の大日本帝国のように反共(反共産主義)などをやっているばあいではないのである。日本共産党を排除しているばあいではない。包摂するべきだ。

 日本の政治を刷新することは、具体としては、脱安倍といってもよい。脱安倍は、脱安倍晋三元首相をさす。安倍元首相のあり方から脱することだ。安倍元首相が象徴するようなあり方から脱せられればよい。世襲の政治家の数が多すぎて力を持ちすぎるのも改めたい。脱世襲制だ。

 参照文献 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『日本語の二十一世紀のために』丸谷才一 山崎正和 『うその倫理学』亀山純生(すみお) 『政治家を疑え』高瀬淳一 『人はなぜ戦うのか 考古学からみた戦争』松木(まつぎ)武彦 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『うたがいの神様』千原ジュニア 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『世襲議員 構造と問題点』稲井田茂(いないだしげる) 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『宗教多元主義を学ぶ人のために』間瀬啓允(ませひろまさ)編 『十三歳からの日本外交 それって、関係あるの!?』孫崎享(まごさきうける) 『歴史家が見る現代世界』入江昭 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『構築主義とは何か』上野千鶴子