中東の紛争と、民族―民族や国民つまりうそ(自然なものではない)

 民族の点から、中東の紛争を見てみるとどういったことがとらえられるだろうか。

 うそなのが、民族だ。たとえば、日本人を民族として見てみると、うそである。本当やまことなのではないのが日本人だ。

 どういったわけでうそだと言えるのかがある。日本人をうそだとできるのは、日本すごいの文脈でだ。日本人はすごいとするのはうそなのである。日本人は良いとするのは、本当やまことではない。

 うそなのが、ユダヤ人だ。民族として見てみると、うそなのがユダヤ人であり、本当やまことではない。それはちょうど日本人がうそなのと同じ文脈である。

 うそが、あばかれている。中東でおきているイスラエルパレスチナの紛争では、民族としてのユダヤ人のうそがあばかれることになっている。

 状況しだいで良くも悪くもなるのが民族だ。状況のちがいをくみ入れなければならない。状況を抜きにして、ユダヤ人は良いとか悪いとかとするのは、うそにほかならない。

 置かれる状況しだいでは良くなることもあれば悪くなることもある。状況と相関するのがあり、具体の状況と相互に関連するものとして民族や国民をとらえることが成り立つ。

 すごい良いものなのが日本人だ。日本の国の中では、日本すごいが言われることがしばしばある。それと同じように、ユダヤ人は良いとかすごいとされるのが、イスラエルの国の中ではありそうだ。

 歴史において、西洋で差別されつづけてきたのがユダヤ人だ。その文脈においては、ユダヤ人への差別をきびしく批判しなければならない。歴史をふり返ることは大切である。交通論では、いまとかつてのいまかつて間の交通をやり、かつてを十分に想起することがいる。

 ユダヤ人が差別されるのは、ユダヤ人が民族として劣の階層(class)に置かれることを示す。劣の階層に置かれると、差別を受けやすい。可傷性(かしょうせい)やぜい弱性(vulnerability)を持つ。悪玉化(scapegoat)されてしまう。

 ユダヤ人にかぎらず、あるものが劣の階層に置かれれば、それが差別を受けかねない。ユダヤ人が置かれる階層が、劣から優へと移れば、差別を受けづらくなる。可傷性やぜい弱性を持たなくなる。悪玉化されにくくなるのである。

 かんじんなことは、なにが劣の階層に置かれているのかを見て行くことだろう。ユダヤ人が民族として劣の階層に置かれていないのであれば、何か別なものが劣の階層に置かれている見こみがある。劣の階層である、従属の階層(subaltern)や被収奪者に目を向けて行くことがいる。

 構築されたものなのが、ユダヤ人への差別だ。いったん構築されたものを、改めて行く。脱構築(deconstruction)だ。一から作り直すことだ。

 かんじんなのは、脱構築をして行くことだろう。一から作り直す。劣の階層に置かれているものを、固定化させない。それを固定化させつづけるのは、ユダヤ人を差別しつづけることに等しい。ユダヤ人への差別がなされるべきではないのであれば、(ユダヤ人にかぎらず)劣の階層に置かれているものを固定化させないようにしないとならない。

 構築されたものなのが民族だから、うそである。できるだけ脱構築をして行く。構築されたものである民族を、本当やまことのものだとしすぎない。優の階層と、劣の階層のあり方を、固定化させない。なにが劣の階層に置かれているのかを見て行く。劣の階層のものへ差別がなされることが多いから、それを救い出す。

 民族そのものについては、共同の幻想だ。構築されたものであり、自然なものではない。劣の階層に置かれているのだとしても、それを改めることがなりたつ。神話(myth)によるものなのが民族や国民であり、物語だ。うそによるものであり、あまり本当やまことだとしすぎないことがいる。

 参照文献 『「日本人」という、うそ 武士道精神は日本を復活させるか』山岸俊男脱構築 思考のフロンティア』守中高明現代思想を読む事典』今村仁司編 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『法哲学入門』長尾龍一 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『社会階層 豊かさの中の不平等』原純輔(じゅんすけ) 盛山(せいやま)和夫 『民族という名の宗教 人をまとめる原理・排除する原理』なだいなだ 『日本人はなぜ存在するか』與那覇潤(よなはじゅん) 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『唯幻論物語』岸田秀(しゅう) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『うその倫理学』亀山純生(すみお)