中東の紛争と、集団の心理―集団(社会)の心理から、国を見てみる

 中東のもめごとを、心理の点から見てみるとどういったことが見えてくるだろうか。

 個人と集団がある。それらの心理がある。個人の心理学と集団(社会)の心理学だ。

 どんどん危険な方へと向かって行く。危険性への移行(risky shift)だ。イスラエルではそれがおきているかもしれない。イスラエルと対立しているパレスチナイスラム原理主義の集団にも当てはまる。

 安全のために、軍事の行動をとって行く。国を守るために、軍事の力を使う。イスラエルはそうしているのがあるかもしれないが、安全とは逆になる。危険性への移行がおきているとすれば、安全ではなくて逆に危険になって行っている。

 中東のこととは話がちがってしまうけど、日本でもまた危険性への移行がおきている。日本の国の政治はどんどん右傾化して行っている。軍事の大きな増税がこれから先にひかえている。少しの減税のあとに、大きな増税がまっている。与党である自由民主党岸田文雄首相が、減税うそめがねと言われるゆえんである。

 軍備の拡張をして行っているのがいまの日本だ。それとは話が変わってしまうけど、財政では、消費税を減税したり廃止したりするべきだと言われているのがある。これは危険性への移行だととらえられる。

 日本の財政はすごい借金を抱えている。その中で消費税の減税や廃止がいわれるのは、危険性への移行がおきているためだろう。財政のはたんへと進んでいっている。財政をはたんさせる動きが強まっているのである。財政を何とか持ちこたえさせるには、増税をしなければならないのがある。少なくとも、減税をする財政のゆとりはありそうにない。

 中東のイスラエルや、東アジアの日本は、かしこい行動をとっているとは言えそうにない。国としてかしこいことをやっているとは言えないのがイスラエルや日本だろう。おろかさを持つ。集団の浅慮(せんりょ)だ。

 少しでもかしこいあり方に集団がなれば良い。集団がかしこいあり方であれば、集団の平和を保てる。集団どうしが仲良くなれる。

 おろかさにおちいってしまうと、認知のゆがみがはたらく。内集団ひいきになってしまう。外集団を見下す。イスラエルであれば、パレスチナを見下す。パレスチナを敵だと見なす。排外主義になってしまうのである。

 外集団は、他者である。外部だ。内集団にとっての外部であり他者に当たるのが、外集団だ。外部との交通がある。他者との交通だ。それをどのようにやって行けるのかがある。そこにむずかしさがある。外部との交通はできづらい。他者との交通はできづらいのがあり、他者の排除がおきやすいのである。

 自分は何ものなのか。それがわかっていることなのが自己の同定(identity)だ。あまりきつく自己を同定してしまうと、個性(personality)を否定してしまう。個性を重んじることは重要だ。人格主義(personalism)である。個人を何かの手段にしないことである。

 何かへの帰属を重んじるのが自己の同定だ。帰属を重んじすぎてしまうと、個性が否定されてしまう。国の公が肥大化して行く。個人の私が押さえつけられてしまう。個人の私をできるだけ重んじるようにして行きたい。

 関係し合うことがらが集まったものなのが体系(system)だ。自と他は関係し合う。関係し合うものなのが他者だから、それを排除しないようにして行く。外部をさえぎらないようにして、交通して行く。おたがい様といったように、自と他が交通し合えればのぞましい。

 おろかさにおちいっているのがイスラエルや日本だとすると、それを少しでも改めて行きたい。イスラエルでも日本でも、危険性への移行がおきていて、集団がどんどん危ない方へと向かって行っていそうだ。

 日本では財政が持たなくなっているのがあるけど、それなのにも関わらずますます危ない方へと向かって行く動きがおきている。財政がはたんする見こみが高まっているのがある。

 集団はおろかさにおちいりがちなのがあり、いまの日本にそれを見てとることができる。かしこいあり方なのがいまの日本なのだとはちょっと見なせそうにない。

 かしこいものである上方へと引き上がっているのではなくて、おろかさである下方へと引き下がっている。理想としては、かしこいものである上方へと引き上がって行けば良い。

 現実を見てみると、おろかさである下方へと引き下がっているのがあり、理想と現実とのみぞがひらく。せめてもう少しくらいは、下方へと引き下がるのを食い止めて、できるだけ上方へと引き上げて行きたい。イスラエルでも日本でも、それがいりそうだ。

 参照文献 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『絶対に知っておくべき日本と日本人の一〇大問題』星浩(ほしひろし) 『日本国はいくら借金できるのか? 国債破綻ドミノ』川北隆雄(かわきたたかお) 『思考のレッスン』丸谷才一(まるやさいいち) 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『アイデンティティ(identity) / 他者性(otherness) 思考のフロンティア』細見和之(ほそみかずゆき) 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫