政治家による差別と、表現の能力の高低―表現の能力が低いから、差別をしてしまったのか

 自分の表現がつたなかった。そのことによって、まちがって差別をしているのだと受けとめられてしまった。少数者や女性などにたいして、自分が差別をしていたことを、自民党の政治家はそうおわびしていた。

 表現がつたないことから差別をしてしまっていたのが、自由民主党の政治家なのだろうか。そのことが差別をしていたことの原因なのだろうか。

 どういうことが政治の仕事でいちばん大事なのかといえば、(色々にあげられる中で)何かを伝えることだろう。伝える技術が核としているから、その技術が低いのであれば、政治家の仕事はつとまりそうにない。(ほかの仕事でもそうだけど)政治家の仕事にいる、かんじんな力(伝える力)が欠けている。

 政治家が言葉を使って何かを言うさいに、それによって成功するのと失敗するのがおきる。成功すれば、人々に意味のあることをうったえかけられる。失敗すれば失言をしたことをしめす。失言をしたのなら、人々から批判をされてたたかれることになる。

 民間の自動車の会社のトヨタ自動車で行なわれているような、なぜの問いかけを何度もくり返す。なぜそうなのか(why so?)と、だから何だ(so what?)の問いかけをもち出してみると、どうして自民党の政治家が差別をしていたのかを問いかけられる。

 なぜの問いかけを何度もくり返していって、差別の現象の、核となる原因を見て行きたい。核となる原因に当たる、問題の所在は何なのかを見て行く。深くまで見ていって、原因(問題の所在)をさぐってみると、表現のつたなさであるよりは、表象(representation)のまずさがあることが見えてくる。

 主体(subject)が客体(object)を表象するのがあり、一方向の交通のあり方になる。主体が上に立って、下の客体を表象する。上に立つ主体がすごい力をもって、うむをいわせずに下に置かれる客体を一方向の単交通によって表象するのがあり、きついあり方になる。

 表現であるのとともに、表象が関わっているのが差別にはあるから、そこを見て行くようにしたい。表象するさいには、表象されるものが、受動になって、逆方向の単交通のあり方になる。逆方向の単交通とは、たとえば、親が子どもの名前をかってに決めて名づけるようなことだ。名づけられた子どもからすると逆方向の単交通になっているのだ。

 能動なのが主体であり、それに当たる自民党の政治家が、差別をすることになった。差別をした自民党の政治家の、主観にまずさがあって、その認識のまちがいが批判されている。

 自民党の政治家に差別されたのは、少数者や女性だ。その少数者や女性は、劣のものとして表象されたものである。劣の階層(class)に置かれているのである。自民党の政治家がもっている主観があって、その認識において、劣の階層に置かれているのである。劣のものとして表象されている。

 客体そのもの(presentation)であるよりも、主体(自民党の政治家)が認識するものとしての客体になっているのがある。(客体そのものであるよりも)主体が認識するものとしての客体が、劣のものとして表象されてしまっているから、その認識のもち方が批判されることがいる。

 受動で、逆方向の単交通にされるのが客体だから、そういう形で表象されることになる客体のありさまを、改めて行く。脱構築(deconstruction)して行く。人為や人工でつくられているのが客体にたいする表象だから、その表象を脱構築することがなりたつ。

 差別をしないようにして、それを改めて行く。表現を改めるのにくわえて、表象のあり方を正すようにしたい。主体は、客体についてを、一面でとらえて表象してしまいやすい。ちがう面を色々に持っているのが客体にはあるから、一面だけで決めつけると差別になりがちだ。

 偏見をできるかぎりもたないようにしていって、少数者や女性などの対象についてを、一面でとらえないようにして、いろいろな面をていねいに見て行くことがいる。

 主体と客体の立ち場を転じるようにして、客体に置かれがちな弱い立ち場の少数者や女性などが、主体になれるようにして行く。客体が主体になれるように力づけるようにして行き、(他からではなくて)自分たちで自分たちを自由に好きなようにいかようにでも定義づけできるようにすることが大切だ。

 参照文献 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『差別原論 〈わたし〉のなかの権力とつきあう』好井裕明(よしいひろあき) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『「Why 型思考」が仕事を変える 鋭いアウトプットを出せる人の「頭の使い方」』細谷功(ほそやいさお) 『武器としての〈言葉政治〉 不利益分配時代の政治手法』高瀬淳一 『脱構築 思考のフロンティア』守中高明 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『考える技術』大前研一 『論理的な思考法を身につける本 議論に負けない、騙されない!』伊藤芳朗(よしろう)