マイナンバーカードは、国民のためのものなのか―国民に益になるのは自明なのか(不利益でないのは自明なのか)

 マイナンバーカードについてを、お金と語りの二つの点で見て行く。そうするとどういったことが見えてくるだろうか。

 政治の二つの大きな要素なのがお金と語りだ。お金はせまい意味でのものではなくて広い意味でのものであり、価値をさす。

 日本共産党の報道である赤旗(あかはた)が報じるところでは、マイナンバーカードは財界からの求めによるものだという。財界の求めに応じて、与党である自由民主党マイナンバーカードをおし進めているのである。

 交通論でいえば、政治と財界とのゆ着があって、政と財の複合体の中でのお金(広い意味でのもの)のやり取りになっているのがマイナンバーカードだろう。政と財のあいだのお金の交通だ。

 デジタル庁がマイナンバーカードをおし進めていて、日本のデジタル化だと言っているが、これは語りだろう。語りは、たんに言葉によってものを言うことだけではなくて、うわべの言葉だとか、うそだとか、国民をだますことをふくむ。

 政治で気をつけなければならないのは語りだ。政権が言っていることをそのまま丸ごとうのみにしてしまうと、語りによって国民がだまされてしまう。語りを警戒してしすぎることはない。

 日本の政治は、国民の方を向いたあり方ではなくて、ほかのところを向いている。国の外ではアメリカだったり、国の中では財界や大手の報道機関や官僚の世界や特別な利益団体などだったりだ。利益団体には、韓国のカルト(cult)の宗教なんかもふくむ。

 国民にたいしてお金を交通させるためのものなのではないのがマイナンバーカードだろう。語りとしては、国民のためなのが第一であるかのように言っていて、デジタル化で国民に益になるとか、効率が良くなるだとかとしているけど、それはだましの語りのようなものだろう。

 政治におけるお金と語りの二つの点からいってまずいところがあるのがマイナンバーカードであり、国民へのお金の交通が主になっていない。財界などへのお金の交通が主になっていて、国民はあと回しだ。語りによっていくらでもだませるしごまかせるのが国民だ。デジタル化とかの語りを言っていさえすればだませるのが国民である。

 どこからどう見てもまったくだめであり、完全に悪いものなのがマイナンバーカードなのだとしたら言いすぎかもしれないが、あやしさやうさんくささがつきまとう。マイナンバーカードは良いものなのだと言っている芸能人もいるけど、そうした芸能人が言っていることをそのまま丸ごとうのみにはしづらい。

 それについての知識を、はだかの形で言う。はだかの形ではなくて、ゆがみ(bias)がおきてしまう。カードについての知識は、はだかの形ではなくて、ゆがみが入っていることがあり、受けとるさいにはゆがみをとり除かないとならない。

 与党である自民党にさからうことは言いづらいのがテレビ番組だ。自民党にさからうことは言いづらいから、はだかの形の知識ではなくて、権力にそった知識になってしまう。知と権力だ。情報の政治(infopolitics)である。

 テレビ番組に出演したさいにマイナンバーカードを良しとすることを言うことで、その芸能人はお金の交通を得ている。政権のたいこ持ち(権力のどれい)になることによって、お金を得られるのがある。

 政治と芸能界や、政治と報道とのあいだのお金の交通があり、政と芸や政と報のゆ着がある。その中で、マイナンバーカードじたいだけではなくて、それについての言説においてもお金の交通があるから、言説のゆがみにも気をつけたい。

 マイナンバーカードそれじたいの、カードそれそのものについてのことだったら、ことがらそのものだけど、そうではなくて、お金の交通が動機づけ(motivation)になっていて、よりお金が得られる言説を言うといったようになっているのが、芸能界や報道にはある。

 ことがらそのものにはそこまで関心がないけど、お金の交通にはすごい関心が高いのが、芸能界や報道には目だつ。お金の交通で、益を得るのが第一になっていて、不利益をどうやって他人に押しつけるのかの争いがおきている。不利益の分配の政治だ。国家主義(nationalism)によるお金の交通は危なさがあり、右傾化がどんどん進んでいるのがいまの日本だろう。

 戦争になったとしたら、国民に不利益が押しつけられる。戦前では、欲しがりません勝つまではや、ぜいたくは敵だなどと言われたのがある。そういったように、いまの日本では不利益の分配の政治がおきている。

 日本の政治は、国民の方を向いていない(政官財などの複合体のゆ着がある)から、国民に不利益が押しつけられることが大いにありえる。たとえば軍事費のための大増税などだ。カードで不具合が色々におきているのも、国民に不利益が押しつけられていることだととらえられなくはない。

 参照文献 『政治家を疑え』高瀬淳一 『右傾化する日本政治』中野晃一 『共謀者たち 政治家と新聞記者を繋(つな)ぐ暗黒回廊(かいろう)』河野太郎 牧野洋(よう) 『うたがいの神様』千原ジュニア 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『人はなぜ戦うのか 考古学からみた戦争』松木(まつぎ)武彦 『うその倫理学』亀山純生(すみお) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』細野真宏