マイナンバーカードと、原理と技術―原理主義と民主主義

 マイナンバーカードは、それそのものが良いものなのだろうか。それそのものに良い価値があるのだろうか。

 何を目的にするのかがある。目的としては、日本の国民の福祉(social welfare)をより充実させて行く。福祉を重んじる。それを目的とするのであれば、左派のマイナンバーカードになる。社会民主主義(social democracy)だ。

 与党である自由民主党は右派だから、右派によるマイナンバーカードだろう。左派のところが弱い。

 原理と技術の二つの点からすると、自民党マイナンバーカードの進め方は原理によるものだ。技術によるのではない。

 哲学でいわれる超越なのが原理だ。それそのものが目的とされる。

 哲学でいわれる超越論は技術だ。ものごとのやり方だ。マイナンバーカードだったら、それはあくまで手段にとどまる。

 経験を越えてものごとを認識するための、を意味するのが超越論である。

 左派のマイナンバーカードだったら、マイナンバーカードそれそのものが目的にはなりづらい。左派のあり方は、福祉を重んじるのが一つにはある。福祉を重んじるのが目的であって、その手段としてマイナンバーカードがあることになる。

 原理ではなくて技術なのが、左派のマイナンバーカードだ。技術だから、マイナンバーカードそれそのものに必ずしもこだわらない。保険証をむりやりに無くしてでも、(保険証をふくめて)色々なものをマイナンバーカードにひもづけするのにしんちょうになれる。

 技術ではなくて原理でやってしまうと、へたをするとマイナンバーカードが原理主義になってしまう。国民に損や害がおきてでも、とにかくマイナンバーカードをおし進めるのが良いことなのだとなる。本末転倒になることがおきかねない。

 それそのものが良いものなのだと基礎づけたりしたて上げたりすることになるのが、原理のあり方だ。日本の国の憲法のような普遍の価値を持つものだったら原理にできるけど、マイナンバーカードはそういったものではなくて具体のものだから、原理ではなくて技術によるようにした方がふさわしい。

 本当にそれがすごくよいものなのだとしたら、原理のやり方でも良いことがあるけど、自民党は右派であることに気をつけたい。右派であり新自由主義(neoliberalism)によっているのが自民党だから、福祉をより充実して行くような左派のマイナンバーカードはおよそのぞむことができそうにない。福祉を削って行くような右派のマイナンバーカードにならざるをえないだろう。

 左派を排除しているのが自民党だけど、それを包摂して行く。包摂するようにして、立ち場を二つに分けて、右派のマイナンバーカードと左派のマイナンバーカードに分けてみたい。右派のだったら何が何でも保険証をなくす。左派のだったら保険証を温存する(必ずしも保険証をなくさない)。

 立ち場を分けて、色々な点から自由に論じ合ったほうが良い。事実とはちがって、価値については自由なのがあるから、右派のあり方もあれば左派のあり方もあり、人それぞれで自由なのがある。必ずしも原理のやり方でやらなくてもよくて、技術のやり方でやるのがあっても良いのがあり、技術のほうがより柔軟性を持てる。

 参照文献 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『「本末転倒」には騙(だま)されるな 「ウソの構造」を見抜く法』池田清彦現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき) 『原理主義と民主主義』根岸毅(たけし) 『正しく考えるために』岩崎武雄 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫