反共と、反体制―体制(establishment)が、よくないことがある

 反共は、よくない。共産党は、そう言う。

 反共を、ちがうことに言いかえてみたら、どういったふうにとらえられるだろうか。

 同じ反の付くつながりとして、反共を、反体制(anti-establishment)に置き換えてみたい。

 なにが体制(既成の勢力)に当たり、なにが反体制に当たるのか。日本共産党がいう反共を、その点から見てみたい。

 日本の国における体制は、与党の自由民主党だ。共産党は反体制に当たる。

 いまの日本の憲法は、体制に当たるもののようだけど、そうとは言えそうにない。体制に当たるのは、いまの日本の憲法ではなくて、日本の国体(nationhood)だ。いまの日本の憲法は、(体制ではありながらも)反体制に当たるものだととらえられる。

 党の中を見てみると、共産党において、上の役の人たちは、体制だ。党の中で上の役の人たちがいるけど、それにたいして批判の声をあげるのは反体制だ。

 党そのものが、日本の国にたいして反体制の性格をもつのが共産党だろう。反体制のところがあるのが共産党だけど、そのいっぽうで、党の中を見てみると、党の中で上の役の人たちは体制だ。党の中での体制にたいして、反体制に当たることになる人たちがおきてくる。

 党を批判する人たちを反共だと言っているのが共産党だけど、反共だとされるものの中には、反体制が含まれる。反体制は必ずしも悪いものではなくて、よいものであることがしばしばある。

 体制はよいものなのかといえば、そうとは言い切れなくて、悪いことが少なくない。日本でいえば、国体が体制に当たり、国体は天皇制による。父権主義(paternalism)によっていて、性で男性を優として女性を劣とするものだから、悪さをもつ。性の階層(class)の格差がおきるもとになっている。

 国の政治では、世襲の政治家は体制だ。世襲の政治家がたくさんいるのが自民党であり、党として悪さをもつ。三バンの、地盤(後援会)とかんばん(知名度)とかばん(財力)を引きつぐ。体制をよしとするのが強いのが自民党であり、いろいろな不祥事や不正を抱えこんでいる。

 体制がだめだったり悪かったりすることがしばしばあり、その点では、共産党は党としては反体制に当たるから、良さをもつ。良さはあるけど、党の中を見てみると、党の中での体制があるから、それにたいする反体制はあったほうがよい。ちょうど、国でいえば、国の中での反体制にあたる共産党などの、反対の勢力(opposition)があったほうがよいのと同じだ。反対の勢力は、すぐれていることが少なくない。

 参照文献 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『世襲議員 構造と問題点』稲井田茂 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『国体論 菊と星条旗白井聡(さとし) 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『「勝ち組」の構想力 二十一世紀、われわれはいかに富を創出するか』大前研一 田原総一朗