共産党や反共と、玉ねぎの皮―日本の国や日本人と、玉ねぎの皮

 共産党や、党の長を、科学と非科学の二つで見たら、どのように見なせるだろうか。

 党を批判した人を、党から除名したのが、日本共産党だ。

 あらためて、科学の点から見てみると、党の長は、ただの人(男性であれば、ただのおじさん)だ。

 党だけではなくて、日本の国にも同じことが言えて、科学の点からすれば、首相は、ただの人(男性であれば、ただのおじさん)だ。

 ただの人であるのにもかかわらず、党の長だとか、首相だとかとされている。それは、党の長だとか、首相だとかと、見なしているからなのにすぎない。そう見なさなければ、ただの人(男性であれば、ただのおじさん)にすぎない。

 半分は科学によれているけど、半分は非科学になってしまっているのが、共産党だ。そう言えるのがあるかもしれない。半分は科学によれているのは、共産党は日本の国を批判できているし、いまの日本の憲法を良しとしているからだ。

 半分は非科学になってしまっているのは、日本の国や、とりわけ党のことを、実体化してしまっているのがうかがえるからだ。共産党や反共を、実体化してしまっているところがある。

 党を実体化するのはあやまりだ。非実体なのが党であり、法の決まり(党であれば、党の決まり)はあるが、集団としての党は実体としては無い。

 国にも同じことが言えて、国の決まりである憲法はあるけど、集団としての国は無い。国があるのだとするのは、国を実体化していることであり、非科学のものだ。擬人化(ぎじんか)による思考である。

 科学によるのだとすれば、国はなくて、憲法があるのにすぎない。そうではあるけど、国の中に、憲法を否定でとらえる人がいてもよいのはあるだろう。反憲法の人がいてもよくて、憲法の改正をするべきだとする人がいてもよい。すべての人が憲法をよしとするべきだとはいえそうにない。色々な考えをもつ人たちがいるのがあるから、人それぞれの考えのちがいをよしとすることがのぞましい。

 国はなくて、憲法だけがあるのだとはいっても、憲法があるのは事実(is)だから、その事実から価値(ought)を導いてしまうとのぞましくない。何々であるの事実から、何々であるべきの価値を導いてしまうと、自然主義の誤びゅうにおちいってしまう。

 憲法があるのは事実であるのだとしても、それにたいしてどのような価値をもつのかは、人それぞれによってさまざまだろう。価値は、正の価値から負の価値まであるから、正の価値をもつ人がいてもよいし、負の価値をもつ人がいてもよいのがある。どちらの価値の持ち方が正しいのかは、客観にはよくわからない。(価値の一神教ではない)価値の多神教のあり方だ。

 何がかんじんなことなのかといえば、いまの日本の憲法を良しとすることだけにとどまらず、それに加えて、科学の思考によるようにすることだろう。科学の思考によるのだとすれば、憲法はあるといえるけど、国は無い。党もまた無い。

 憲法などの、法の決まりだけがあって、国とか党はないのだとしてしまうと、国や党にすがれなくなる。国や党を実体化しないのが科学のあり方であり、それはいまの日本の憲法を良しとするところから導かれることになるものだ。

 内と外のあいだの、境界の線があるようでいてないのが、国や党だろう。境界の線が、実線として引かれているのであるよりは、点線や破線(はせん)によっている。集団としての国や党は、その内に、いくつもの穴ぼこがあいていて、多孔(たこう)化している。

 実体化できるものであるよりは、多孔化しているのがあるのが、集団としての国や党だろう。穴ぼこがいくつもあきまくりになっているのだ。国なんかは、いまは世界主義(globalization)で世界化が進んでいるから、穴ぼこがいくつもあきまくっていて、国の内と外とをげんみつに分けづらくなっている。日本と非日本や、日本人と非日本人とを、げんみつに分けづらい。

 よく分からないものになっているのが、日本や日本人だろう。自明性がなくなっている。それと同じように、共産党もまた、よく分からないものになっていて、自明性がなくなっている。そう言えるのがあるかもしれない。自明性の厚いからに、いくつものひびが入ってきている。

 自明性がなくなっていて、ひび割れがすごいおきているのがあって、共産党とは何なのかがわからなくなっている。自己の同定(identity)を持ちづらくなっている。自己の同定は、自分は何者なのかが(自分で)わかっていることだけど、(ほんとうにわかっているのではなくて)たんにわかっているつもりにしかなれなくなっているのがありそうだ。つもりではなくて、本当に自分は何者なのかをわかろうとすると、玉ねぎの皮をむくようなことになり、あとには何も残りそうにない。

 参照文献 『リヴァイアサン 近代国家の思想と歴史』長尾龍一 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『民主主義という不思議な仕組み』佐々木毅(たけし) 『日本人はなぜ存在するか』與那覇潤(よなはじゅん) 『グローバリゼーションとは何か 液状化する世界を読み解く』伊豫谷登士翁(いよたにとしお) 『科学との正しい付き合い方 疑うことからはじめよう』内田麻理香 『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』西林克彦 『本当にわかる論理学』三浦俊彦現代思想の断層 「神なき時代」の模索』徳永恂(まこと) 『ポケット図解 構造主義がよ~くわかる本 人間と社会を縛る構造を解き明かす』高田明典(あきのり)