ロシアとウクライナの戦争と、東アジアの地域性―東アジアにおける日本の責任や罪

 ロシアが引きおこした戦争は、日本の国とどのような関わりをもつのだろうか。

 ロシアがウクライナに攻めこんで戦争がおきているけど、その戦争は、日本の国とまったく関わりがないものだとはいえそうにない。それについてを、東アジアの点から見てみたい。

 日本の国は東アジアの中にある。東アジアを改めてみてみると、そこにロシアが含まれているから、ロシアがいま引きおこしている戦争は、東アジアと関わりがある。

 東アジアを改めてみてみると、そこにはいくつかの大国が含まれている。ロシアがあり、中国があり、アメリカがある。アメリカはじかには東アジアに含まれているのではないけど、間接には東アジアに大きく関与している。

 アメリカは東アジアに大きな関係があり、アメリカを抜きにすると東アジアの国どうしは結びつきを持ちづらい。アメリカを介して、東アジアの国々は関わりをもつ。アメリカに頼っているのがあり、頼らざるをえないようになっている。アメリカと日本や、アメリカと韓国といったような、アメリカとの二国間の関係性になっている。じかに、日韓や日中などが深い結びつきをもちづらい。アメリカが中継する(hub の)役をになう。

 日本の国が東アジアの中でどういった国に囲まれているのかを見てみると、大国であるアメリカやロシアや中国があるから、そこにやっかいさがある。世界の中における大国が、東アジアの中にあるから、地域としての意味あいは小さいものだとはいえそうにない。

 北朝鮮は東アジアの中にあるから、北朝鮮のことをどうするのかを含めて、東アジアにおいて多国間の話し合いの場を作ることがいる。アメリカを介した二国間の関係性ではなくて、じかに日韓や日中(や日露)が関係をもつようにして、国どうしでやり取りをするようにして行く。

 日本はただたんにアメリカに従属してくっついていっているだけだから、東アジアにおいて日本がなすべきことをできていない。ロシアがウクライナに戦争をしかけたことの責任の一部は、日本の国にあるのだと見なしたい。日本がもっと東アジアにおいて、主導性をもって、国どうしの関係性をつくって行き、国どうしがたがいに話し合う場を作れていれば、ロシアが戦争をおこすことを防げた見こみがある。

 なすべきことをやらずに、日本はアメリカにただくっついていっていて、アメリカと協調するだけだから、そこに日本の国の努力の怠慢がある。北朝鮮のことについても、日本の国は口だけは何とかして行くいきごみを言っているけど、それはこうあってほしいといった願望(wish)ではあっても意思(will)ではない。

 北朝鮮のことについて、日本は願望はあっても意思が欠けている。こうなったらよいなといったことはあるけど、こうするぞといったことがない。やる気がなくて、動機づけ(motivation)がない。あたかも(意思がないのに)意思があるかのように見せかけているから、うそをついているのである。

 参照文献 『姜尚中にきいてみた! 東北アジアナショナリズム問答』姜尚中(かんさんじゅん)、「アリエス」編集部編 『リージョナリズム 思考のフロンティア』丸川哲史(てつし) 『アジア / 日本 思考のフロンティア』米谷匡史(よねたにまさふみ)