ロシアとウクライナの戦争と、なにが正義なのか―制度の正義と、実践の正義

 ロシアとウクライナのあいだで戦争がおきている。

 戦争がおきていることを、正義の点から見てみられるとするとどういったことが言えるだろうか。正義では、制度の正義と実践の正義の二つに分けて見てみたい。

 正義は、究極の価値とされるものであり、なにが正義なのかの定義づけを定めづらい。多義性やあいまいさを持つ。正義には複数性があり、ロシアにはロシアの正義がある、といったことになってしまう。

 制度の正義では、ロシアの国のあり方や、ロシアの憲法をとり上げられる。

 ロシアの国のあり方では、独裁主義になっているものだろう。国がどういうあり方なのかでは、いちばんよいのは立憲主義自由主義(liberalism)によるものだ。その下が独裁主義だ。いちばん悪いのは内乱の状態だ。

 国のあり方が、一番よいとも言えないし、いちばん悪いとも言えないのがロシアだろう。独裁主義になっていて、ウラジーミル・プーチン大統領が力を持ちすぎている。

 制度の正義において、憲法にまずさがあるのがロシアだと言える。制度の正義にまずさがあることから、戦争をおこすことになってしまった。

 戦争をおこしたことで、ロシアは国として失敗をしてしまった。なぜ失敗がおきたのかといえば、ロシアは国として制度の正義にまずさがあったことによる。

 国がしでかしがちな三つの大きな失敗があるとされる。無ぼうな戦争と、人権の侵害と、権力の独裁だ。

 国がしでかしがちな三つの大きな失敗があるうちで、ロシアは三つの失敗をおかしている。無ぼうな戦争をいまおこなっているのがあり、基本の人権(fundamental human rights)を侵害していて、国の中が独裁主義になっている。

 ロシアのあり方から見てとれるのは、憲法の大切さだろう。立憲主義によっているのでないと、ロシアのように、国がしでかしがちな三つの大きな失敗をぜんぶやってしまう。憲法立憲主義によっていて、それがきちんと機能していることが重要である。

 どういったことがロシアではいるのかといえば、制度の正義をつくることだろう。国のあり方は憲法(constitution)によってつくられるのがあり、国を設立する(constitute)ことにつながる。制度の正義で、立憲主義によるようにして、個人の私を重んじるような憲法にして行く。

 すでに立憲主義による憲法があるのであれば、それを守って行く。国がしでかしがちな三つの大きな失敗を防ぎやすいのが立憲主義による憲法だから、それがすでにあるのなら、制度の正義はとられていることになる。憲法を守り、国の過去の負の歴史をしっかりとかえりみて行く。国の過去の負の歴史を想起して行く。かつてといまの間のいまかつて間の交通をしっかりと行なうようにする。

 実践の正義としては、できることは限られているのはあるけど、できることがあればやって行くようにして行きたい。戦争の反対の声をあげたり、戦争を止めるために動いていったり、被害を受けている個人の私を助けることにつながることをやっていったりして行きたい。

 中国では、ウイグル自治区で人権の侵害が行なわれているのだとされる。その中国の行ないにたいして、批判の声をあげて行く。中国にたいして、アメリカなどの西洋の国が批判をしているのがある。

 比較をしてみると、ウイグル自治区で行なわれていることよりも、さらにより悪いのがロシアとウクライナのあいだの戦争だろう。ウイグル自治区のことに批判の声をあげることがいるのであれば、ロシアとウクライナの戦争にはなおさら批判の声をあげることがいる。戦争の反対の声をあげることがいる。ロシアとウクライナの戦争に批判の声をあげないのであれば、ウイグル自治区のことにはなおさら声をあげることはいらない。そう言うことがなりたつ。

 もしも自分がウイグル自治区の中にいたり、またはウクライナの国の中にいたりするのであれば、中国の行ないやロシアの行ないはとうてい受け入れられるものではない。中国やロシアが人権の侵害をしていて、その被害をこうむるのが自分であるのなら、それを受け入れることはできないことだ。

 いまの自分の視点から、ウイグル自治区の中の人やウクライナの国の人に視点を移してみれば、中国やロシアの倫理の点でのまずさが浮かび上がってくる。自由主義による視点の反転の可能性の試しをしてみると、倫理の点で、中国やロシアは不正をなしていると言える。中国やロシアに批判の声をあげることは、実践の正義に当たることの一つだと言えるだろう。

 参照文献 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『一三歳からの法学部入門』荘司雅彦 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『ぼくたちの倫理学教室』E・トゥーゲンハット A・M・ビクーニャ C・ロペス 鈴木崇夫(たかお)訳 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信憲法主義 条文には書かれていない本質』南野森(しげる) 内山奈月 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき)