中国は、自国がやっていることを正当化できるのか―中国の内政への干渉はよくないことなのか

 中国の国内では、ウイグルの人たちへの人権の侵害が行なわれているという。台湾や香港では、中国の当局からの弾圧が強まっている。

 中国にたいして外から批判の声が投げかけられている。批判の声が外から投げかけられていることにたいして中国は自分たちがやっていることを正当化しようとしている。内政への干渉はよくないとしている。

 たとえ外から批判の声が投げかけられていても、中国の国の中のことは中国が何でも好きにやってよいのだろうか。外からの批判の声にたいしてまったく聞く耳を持たないのでもよいのだろうか。

 民主主義か原理主義かでは、中国は民主主義によるのだとは言えそうにない。原理主義による政治が行なわれているのが中国だろう。中国の国民が自分たちで自分たちの代表を選んでいるとは言えないのが原理主義のあり方だ。

 たとえ民主主義が行なわれていて、国民が自分たちで自分たちの代表を選んでいるのだとしても、国民の代表を国民そのものだと見なすことはできづらい。国民の代表である政治家は、国民そのものとはいえないので、政治家が言っていることが国民の声だとは言い切れない。すべての国民の声をくまなくすくい取っていないのである。

 どのようなあり方かを比べて見てみられるとすると、民主主義であったとしても十分ではないのだから、原理主義であればなおさら十分ではない。なおさら十分ではない原理主義によっているのが中国だから、中国の国民が自分たちで自分たちの国の政治をやっていっているとはいえず、国民のさまざまな声が国の政治に反映されている度合いは低いだろう。より強い理由(a fortiori)によって、中国の政治のあり方は批判されるべきである。

 どのような政治が国の中で行なわれているのかを見てみると、中国では内政への干渉における内政にまずさがある。内政のまずさを改めて行くことがいる。中国は自分たちで内政を正当化することはできづらいだろう。民主主義とはいえず原理主義になっているからである。むねをはって、まっとうな内政をやっているのだとはいえないのがあり、建て前のところからいっても、国民が自分たちで自分たちの国の政治をやっていっているとはいえない。建て前からしてなりたっていない。

 国の外から批判の声が投げかけられれば、内政への干渉になるが、中国では、内政であるよりも(国)内声を無視しているものだろう。国の中のさまざまな国民の声を無視している。外からの声であるよりは、国の中の内の声を無視しているのがあり、そこにまずさがある。

 いまはグローバル化が進んでいるのがあるから、国の内は内で、国の外は外だといったようなことは必ずしもなりたたない。内の中に外があり、外の中に内がある。完ぺきに純粋な内政はなりたちづらい。内であっても外であっても同じようなものであり、国の中の内にあるさまざまな声をすくい上げるようにするべきだし、国の外からの批判の声をきちんと受けとめるようにするべきである。

 グローバル化が進んでいるいまにおいては、純粋な内はないし、純粋な外もないと言えるものだろう。内と外とのあいだの交通がおきているのがあり、内だけで固まりつづけることはできづらいし、外からの影響を完全にせき止めることはできそうにない。

 国どうしのあいだの国境の境界線は自然なものではなくて人為によるものだ。内と外とを分け隔てる線を正しく引くことはできづらい。人為のものにすぎないことから、線に揺らぎがおきている。線が自明なものとは言えなくなっている。

 日本でいえば、戦前や戦時中は、植民地であった朝鮮半島や中国の東北部の満州まで線が引かれていて、日本の国内だった。それが戦後には線が引き直されて、植民地が解放された。それまでに引かれていた線が改められたのである。かつての線といまの線とではちがっている。

 内と外とのあいだには矛盾がある。あらかじめ内が定まっていなければ外とのあいだの線を引けない。それとともに、あらかじめ外とのあいだの線が引かれていなければ、内を定められない。内を定めるのが先か、それとも外とのあいだに線を引くのが先かは、お互いに矛盾し合う。学者のニクラス・ルーマン氏は社会システム理論の中でそれを指摘しているという。

 何らかの形で内と外とのあいだの交通はおきざるをえず、外による内の解体が進んでいっている。内も外も無いのだといった形の、内の幻想性の解体を含む。その解体にあらがおうとするのが国家主義(nationalism)の動きだ。

 参照文献 『原理主義と民主主義』根岸毅(たけし) 『グローバリゼーションとは何か 液状化する世界を読み解く』伊豫谷登士翁(いよたにとしお) 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『社会学になにができるか』奥村隆編