自民党の政治家の脱税の問題を演繹(えんえき)によって検証

 脱税をしているのが自民党の政治家たちだ。税金のどろぼうだ。そう言われているのがある。

 うら金のことで、与党である自由民主党の政治家は脱税をしているのがあるとすると、それは許されるのだろうか。どろぼうが政権をになっていてよいのだろうか。

 脱税についてを演繹(えんえき)の点から見てみたい。

 思考法なのが演繹だ。一般の法則から個別の答えをみちびく。

 大前提となる価値観がある。そもそも、脱税は許されない。脱税はしてはならない。はじめにそれを持ち出せる。規則(rule)だ。

 ついで、当てはめ(application)を行なう。ところで、自民党の政治家はうら金をためこんでいて、脱税をしていた。どろぼうである。

 さいごに結論(conclusion)を出す。だとするならば、自民党の政治家はうら金において脱税をしていたのだから、許されない。してはならないことをした。どろぼうだったのである。

 規則(R)と当てはめ(A)と結論(C)の三つがあって、それらによって自民党のうら金のことを見て行ける。うら金で脱税をしたことを見て行くことがなりたつ。

 自民党はどういった規則を持っているのだろうか。そもそも脱税はよくないとしているのだろうか。それとも、脱税は原則論としては許されないが、例外論として自民党だけは許されるとしているのかもしれない。

 当てはめのところにおいて、自民党は脱税をやっていない。脱税には当たらない。不正なお金だといった(自民党の外からの)批判は、まったく当たらない。うら金をためこんでいたのは何ら悪いことではないし脱税ではない。うら金は不正なお金ではなかったのだとする見かただ。

 結論としては、うら金はとくに悪いものではない。そこまで悪くはない。ちょっとまちがいをおかしただけだ。そんなに大したことではなくて、あとで報告のための書類を訂正すればそれですむ。修正すればそれで終わりだ。書類でまちがっていたところを正せばそれでよい。

 規則と当てはめと結論の三つでは、自民党にきびしい見かたをとることもできるし、それとは逆に甘い見かたをとることもなりたつ。演繹においてその二つの見方がとれる。

 かんじんな点としては、自民党にだけ都合がよい規則であってはならないのがある。とくに自民党にだけ有利にはたらく規則ではよくない。たとえどういった人または集団であったとしても、脱税はよくないのだとしなければならない。きちんと決められた税金は払わないとならない。

 自民党は強者だ。強い。一強(と多弱)だ。強者に有利にはたらくような規則はかたよりがある。強者に有利にはたらくのではない規則であることがいる。それに加えて、自由主義(liberalism)によることがいる。中立な立ち場から判断する思想なのが自由主義だ。

 きちんとした規則によるようにして行く。まずそれがいる。きちんとしたまっとうな倫理観を自民党は持たなければならない。どういう倫理観を持っているのかを説明して行く。説明の責任(accountability)をはたす。

 説明の責任をはたして、社会の関係(public relations)をなす。社会の関係をなしながら、演繹の三つの点である規則と当てはめと結論をしめす。どういう前提の条件から、どういう結論をみちびくのかをはっきりとさせて行く。論証を行なう。

 論証では、二つの問いかけをあげられる。何々だから何々だと、なぜ何々なのかといえばこうだからだ、である。こういう根拠だから(so what?)こういう結論なのだ。なぜこの結論なのか(why so?)といえばこういった根拠だからだ。これらの問いかけがある。

 公共性があるのが税金についてのことがらだから、あるていどより以上に議論の水準を高めないとならない。形を整えるようにして、演繹の三つの点である R と A と C や、論証における根拠と結論の二つをしっかりと分かる形にしなければならない。

 開かれていて(open)、公式のこと(official)であり、共通のこと(common)なのが公共性だ。うら金で脱税だとされているのは公共性によることなのだから、いいかげんな議論ではまずい。水準が低い議論だとよくない。

 日常のおしゃべりだったら議論の水準が低くてもよいけど、公共性によることなのであれば形を整えて、欠けているところがないようにして行く。演繹の R や A や C や、論証の根拠と結論のうちのどれかが欠けないようにすることがいる。

 議論における規則がある。議論の倫理においているものだ。あるていどより以上に水準が高い議論では、議論の規則にもとづいて話し合う。問いかけられたことにまともに答えないようなすれちがい答弁にならないようにして行く。問いかけと受け答えがきちんとかみ合うようにして行く。議論をするさいには、議論にまつわる規則もだいじだ。

 参照文献 『人を動かす質問力』谷原誠 『中高生のための憲法教室』伊藤真(まこと) 『公共性 思考のフロンティア』齋藤純一 『議論のレッスン』福澤一吉(かずよし) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『「説明責任」とは何か メディア戦略の視点から考える』井之上喬(たかし) 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『十三歳からの論理ノート』小野田博一 『大学受験に強くなる教養講座』横山雅彦 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『法とは何か』渡辺洋三(ようぞう)