道徳や愛国よりも、視点や立ち場の反転の可能性の試し(test)を

 うら金をためこむ。政治の不透明なお金をためていたのが、与党である自由民主党のはばつである。

 うら金のことにおける、問題の所在とはいったい何なのだろうか。

 問題の所在としては、特殊と普遍(ふへん)がある。

 特殊であればあるほど、政治家がうら金をためこむ。その二つが相関しているのである。

 右傾化して行っているのがいまの日本の国の政治だ。右派の政治家であればあるほど、うら金をためこんでいた。右派の中の、とくに極右ともいえるような政治家ほど、うら金をためこんでいたのである。

 特殊さにおちいってしまう。普遍が欠けてしまう。うら金のことでは、そこに問題の所在があるのだと見なしてみたい。

 固有の性質なのが特殊だ。つねに当てはまる性質なのが普遍である。

 政治を改めて行く。政治を刷新(さっしん)して行くことが自民党では探られているが、そのさいに、うら金においての問題の所在を押さえなければならない。

 特殊と普遍が関わっているのがうら金のことなのだから、それらを押さえることがいる。特殊さつまり固有の性質であることから、うら金をためこむことがなされた。特殊さがわざわいしているのだから、それを改めるようにして行く。普遍によるようにして行く。

 自民党が特権化されている。自民党だけが甘く許されている。そこに見てとれるのは普遍が欠けていることだ。普遍化できない差別(特権化)になっているのである。

 道徳がだいじだ。愛国が大事である。そう言っているのが右派の政治家だけど、そう言いながらうら金をためこみつづけていたのである。そこからうかがえるのは、いくら道徳や愛国がだいじだと言っていても、特殊さにおちいっていては不道徳にならざるをえない。国を悪くしてしまいかねない。普遍が欠けていると、政治で悪さをなしてしまう。

 右派の政治家は道徳や愛国がだいじだと言うけど、それだと政治で悪さをなすのを防ぎづらい。道徳や愛国を重んじるのであるよりも、いかに特殊さにおちいらないようにするかのほうがよりだいじだ。普遍が欠けてしまわないようにするほうがより重要である。

 何がかんじんな点なのかといえば、右派の政治家が言うように、道徳や愛国を重んじることであるとは言えそうにない。それよりもよりかんじんな点は普遍が欠けないようにすることだ。

 政治でうら金をためこむことがなされるのを防ぐためには、道徳や愛国を重んじるのを言うのは意味がないことが明らかになった。むしろ、右派の政治家が言っていたように、道徳や愛国を重んじるのは逆にあやしさがある。うさんくささやあやしさがあることが明らかになった。

 開示として道徳や愛国を言い、秘匿(ひとく)としてうら金をためこむ。開示しながら秘匿しているのだ。秘匿のための開示なのである。自民党の右派の政治家はそうしていたのである。

 開示されているものだけを受けとるのではなくて、そのうらにある秘匿を見なければならない。右派の政治家が開示や公開しているものだけを受けとってこと足れりとするのでは十分ではない。

 何が目的なのかといえば、開示や公開することなのではない。うら金をためこむような、政治における悪いことを秘匿するのが目的だった。自民党の右派の政治家は、そうした情報の統制(とうせい)をなしていた。

 情報の統制を改めて行く。情報を民主化して行く。情報の民主化とともに、いったい何が秘匿されているのかを問いかけて行くようにしたい。右派の政治家はいったい何を秘匿しているのかを問いかけて行く。

 普遍では自由主義(liberalism)がある。中立な立ち場から判断する思想だ。うら金をためこむことを防ぐ。政治をさっしんして行く。そのためには、自由主義がこわされているのを立て直して行く。それがいる。

 自由主義によるようにして、抑制と均衡(よくせいときんこう)をかけて行く。うら金をためこんでいたのが右派の政治家だけど、右派の政治家は抑制と均衡(checks and balances)をこわしまくってきている。抑制と均衡をこわしまくってきたからこそ、うら金をためこめたのだ。

 視点の反転の可能性の試し(test)をして行く。立ち場を反転させてみるようにする。道徳や愛国を言うよりも前に、その試しをやるようにしたい。その試しをやらないままで、道徳や愛国を言ってもあまり意味がない。

 右派の政治家は、道徳や愛国を重んじるのを言いはするが、視点の反転の可能性の試しは言わない。そこからみちびけることは、道徳や愛国を重んじるのであるよりも、視点の反転の可能性の試しを先決としてやることがいることだ。その試しは先決でやるようにして、あとのことは基本としてそれぞれの人の自由な自己決定にまかせたほうが、自由主義によるあり方にできる。

 参照文献 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『ぼくたちの倫理学教室』E・トゥーゲンハット A・M・ビクーニャ C・ロペス 鈴木崇夫(たかお)訳 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『思考のレッスン』丸谷才一(まるやさいいち) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『論理的な思考法を身につける本 議論に負けない、騙(だま)されない!』伊藤芳朗(よしろう) 『失敗の愛国心 (よりみちパン ! セ)』鈴木邦男(くにお) 『愛国心田原総一朗 西部邁(すすむ) 姜尚中(かんさんじゅん) 『「戦争と知識人」を読む 戦後日本思想の原点』加藤周一 凡人会 『情報政治学講義』高瀬淳一