円安が進んでいるのがいまの日本だ。商品の物価が上がり、値上がりがおきている。
円安をおし進めてきたのが日本の中央銀行の日本銀行や、安倍晋三元首相だった。
日本の国の経済をよくするためのことをしてきているのが、日銀や安倍元首相だったのだろうか。
日本の経済を良くしようともくろんでいたのが、日銀や安倍元首相だった。それで経済の政策をやってきた。それを、学者のロバート・マートン氏のいう予言の自己成就の点から見てみたい。
いま日本では円安がおきているけど、これは日銀や安倍元首相による予言が自己成就したからだとも言えるし、そうではないともいえる。
結果としてはいま日本では円安がおきているけど、これはいろいろな要因によってそうなっているものだろうから、日銀や安倍元首相が主の要因になっているとは言い切れそうにない。ほかの要因も色々にあるかもしれない。
ねらった時期にねらった通りに円安になって、物価が上がって、日本の経済がどんどん良くなっていったのなら、日銀や安倍元首相のやったことが成功したことになる。予言が自己成就したことになる。
ねらいをもって、経済の政策をやってきているのが日銀や安倍元首相だったけど、そのねらいがうまくいったところもあれば、ねらいが外れたところもあるだろう。予言が自己成就したところもあれば、自己崩壊したところもあるのだ。
われわれのやっている経済の政策は正しいものであり、われわれの予言は当たるのだとしていたのが日銀や安倍元首相だった。予言が言われているのがあって、それを信じることがおきたのがあり、予言が当たるのではないかとされるのがおきた。国がやっている予言だから、親方日の丸のようなことで、それを信じる人がおきたのである。
まちがいなく、日銀や安倍元首相の予言が当たったのだとは言い切れそうにない。予言が外れているところがあるのはいなめず、自己崩壊しているのがある。いまおきている円安や物価高は、予言が自己崩壊したことによるものだと見られるのがある。円安や物価高が、悪くはたらいているところがあるのだ。
当たるのだとは言い切れず、外れることがあり、自己崩壊することがあるのが予言だ。そこに気をつけないとならない。
たとえ国が言っているからといって、その予言が当たるとはかぎらない。うのみにはできづらい。
予言が言われて、それをどう受けとるのかで、送り手(国)と受け手とのあいだに相互作用がはたらく。送り手と受け手とのあいだの(予言にまつわる)交通だ。受け手どうしのあいだの交通もある。正の相互作用となることもあれば、負の相互作用となることもある。
正の相互作用であれば、言われた予言が受け手によって信じられる。うのみにする。信じたことが現実化することになって、本当に予言が当たってしまうことになり、予言が現実化することになることがある。負の相互作用であれば、受け手はそれをうたがう。受け手にうたがわれると、予言は必ずしも現実化しづらい。
とんでもなく大外れになって、とんでもない自己崩壊が、これから日本ではもしかしたらおきるかもしれない。とんでもない自己崩壊とは、日本の経済がとんでもなく悪くなって、大きなこん乱がおきることだ。日銀や安倍元首相がやってきたことが、日本の経済にものすごくわざわいすることがおきる。いまよりもさらにすごい円安や、すごい物価高がおきてしまう。
これから日本の経済がどんどん悪くなって行き、円安や物価高がどんどん進み、大きなこん乱がおきる。日本の国がはめつする。いまにおいてそう予言したとしても、それが当たるとはかぎらない。できれば当たらないでほしいものだ。自己成就しないでほしいものである。自己崩壊してほしい予言だ。
よい予言(日本の経済がたしかによくなるのだとする予言)をしたのが、日銀や安倍元首相だったけど、それが当たることもあれば外れることもある。信じられることもあればうたがわれることもおきる。
悪い予言をしたとしても、当たることもあれば外れることもある。信じられることもあればうたがわれることもおきる。
日銀や安倍元首相がやったように、良い予言をしたとしても、それが当たるとはかぎらない。悪い予言をしたとしても、それが外れるとはかぎらない。
予言が当たったのかそれとも外れたのかの結果は、受け手とのあいだの相互作用をくみ入れられる。その予言を信じている人にとっては、当たったような気がするものだろう。少なからぬ受け手が信じれば、それが現実化しやすくなるところがあるから、あるていどは自己成就するのがおきてくる。
やっかいなのは、認知のゆがみが大きくはたらいてしまう点だ。よい予言であれば、それが当たったほうがよい、当たるのにこしたことはない、当たらないと評判が傷つくといったことで、いろいろな意図が入りこんでしまう。意図が多く入ってしまうから、認知が大きくゆがむ。
色々に入っている意図を抜きにして、認知を正して見てみると、じつは予言が外れていたのが見えてくる。予言が自己崩壊していたのが見えてくる。予言が当たり、自己成就したように見えるのは、色々な意図が入っていて、認知がゆがんでいたからなのである。
ほんとうは外れていて、自己崩壊していたけど、それがおおい(cover)によっておおわれて隠されていた。おおいが外されて、おおいの下に隠されていた穴が、いま見えはじめているのかもしれない。いままでは隠されていて見えなかった穴が、いまの日本の円安の進行や物価高に当たる。または、円安の進行や物価高が、おおいをとり外すはたらきをしているとも受けとれる。
当たってほしくない予言をするのだとすると、こうしたことが言える。じつは日銀や安倍元首相がやっていたことは本当は大失敗していて、それがおおいによって隠されてきた。予言がじつは外れていて自己崩壊していたけど、それが隠されてきた。
おおいがこれからとり外されて、下にある穴が明るみに出てくる。とんでもない穴があることが明るみになって、その穴によって、日銀や安倍元首相がやってきたことが、大きな失敗であることがばれることになる。円安や物価高がますます進んで、日本の経済が大きくこん乱して、国がはめつしてしまう。
参照文献 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『すべての経済はバブルに通じる』小幡績(おばたせき) 『理性と権力 生産主義的理性批判の試み』今村仁司 『日本人はなぜ存在するか』與那覇潤(よなはじゅん) 『なぜ「話」は通じないのか コミュニケーションの不自由論』仲正昌樹(なかまさまさき) 『情報汚染の時代』高田明典(あきのり) 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕(にしなりかつひろ) 『うたがいの神様』千原ジュニア