座りこみは、まじめにちゃんとやらないとならないのか―手を抜いてはいけないのか

 国がやることに反対するために、座りこみを行なう。

 座りこみを毎日つづけるとして、一日にどれくらい座りこみをやらないと、その日に座りこみをしたのだと見なされないのだろうか。

 その現場に行ってみたら、だれも座りこみをしている人がいなくてがっかりしたとの感想が言われていた。毎日において座りこみをしていて継続中になっている現場に行っても、そのときには誰もいなかったのである。

 効率と適正さの点から見てみれば、効率のよい座りこみと、適正な座りこみに分けられる。

 二律背反(trade-off)になってしまうのがあり、効率のよい座りこみはあまり労力をかけないですんで労力をはぶけるけど、形だけのものになってしまう。

 適正な座りこみは、労力を十分にかけるものだからしっかりと行なうことができるけど、ことわざでいう骨折り損のくたびれもうけみたいになりかねない。労多くして功少なしみたいになりかねないのだ。

 あんまり適正にやりすぎてしまうと、割に合わなくなって損をしてしまうことがおきるから、効率をよくしてやることもないとならない。効率が悪いと、たとえそれが適正なやり方であったとしても、損がおきることになってしまう。

 二律背反になってしまうのがあるから、適正さと効率が両立しづらいのが座りこみだろう。その二つを両立させられないから、てきとうなあんばいでやらざるをえないのがあり、適正さが欠けるのはしかたがないことだろう。適正さが欠けているのをなじるのは、座りこんでいる人に二重拘束(double bind)をしいることになる。あいはんする矛盾した二つの要求をどうじに突きつけることになる。

 何の目的のために何をやるのかでは、いちばんよいのは、すみやかに目的を達せられることだ。正しいことがあって、それをなすのを目的にかかげて、その目的がすぐに達せられるのであればいちばんよい。

 理想としては、正しさがすぐに現実化すればよいけど、現実論としてはそれはむずかしい。現実論としては制約がかかるから、その制約の条件をくみ入れたうえで、とれる行動をとって行くしかない。

 すぐに正しいことが現実化されるのであれば、座りこむことはいらないから、それがいちばん効率がよい。現実論としては、いろいろな制約の条件をくみ入れないとならないから、いきなり正しいことを現実化するわけには行かず、まわり道として座りこみなどをせざるをえなくなる。

 いきなり正しいことが現実化するのは、客観の合理性があって、なしたことが全体の最適(global optimal)になることだ。そうなるのが理想だけど、現実論としてはそうなることはおきづらい。現実論では、主観の相対の合理性にとどまるものであり、それぞれの人による主観の正しさになる。何かをやったとしても、それがすぐに全体の最適になるのではなくて、部分の最適化(local optimal)にしかならない。

 国がやることに反対するために座りこみをやっているのにおいては、国は効率よくものごとを進めているけど、そこに適正さがあるとはかぎらず、それが欠けている見こみがある。それを示しているのが、座りこみをやる人がおきることである。

 適正な座りこみをやって、座りこみをやることに労力をいっぱいかけることがいるのではなくて、国がやることが正しいことなのかどうかを、批判としてとらえることに労力をかけるようにしたい。

 何が適正であることがいるのかでは、座りこみにそれがいるのではなくて、国がやることにそれがいる。適正にやって行くようにすると、うんと労力がかかるから、国はそれをやらないことが多くて、効率によってつっ走ることが多い。

 座りこむことにも、国がやることにも、どちらにも二律背反がおきるのがあって、効率をとるか適正さをとるかが問われることになる。国がやることで、効率の良さをとってしまうと、適正さが欠けるので危ない。国がやることとはちがい、座りこむことで効率の良さをとったとしてもとくに危なくなるのではない。

 適正に座りこみをやりつづけても、あまり得られるものは大きくはないだろう。国が、そのふるまいについてを無視して、効率によってつっ走ってしまうからである。何がいることなのかといえば、べつに座りこみは効率よくやるのでもよいわけだけど、国に適正さが欠けてしまわないようにする点だ。

 かんじんなのは、座りこむことにうんと労力をかけることではなくて、国がやることができるだけ適正になるように、そこに労力をかけて行くようにすることだろう。座りこむことは、やらないですむのならそれが一番よいことなのだから、それをやらないとならないことになっているありようが悪いのだとも見なせる。座りこみをやらないですんで、たんに正しいことだけが(国によって)なされればいちばんよい。

 参照文献 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき)