ロシアとウクライナの戦争と、手つづきの正義―過程の形式と、実質や実体

 ロシアとウクライナのあいだで戦争がおきている。

 ロシアが引きおこした戦争についてをどのように見なせるだろうか。それについてを手つづきの正義の点から見てみたい。

 どういった意思決定の過程(process)によって、ロシアで戦争をおこすことが決められたのかがある。

 過程を見てみられるとすると、ロシアが戦争をおこすさいに、国際連合(United Nations)を通すべきだった。国連にうかがいをたてるようにして、戦争が許されるかどうかを探って行く。せめてそうするべきだった。

 国連を通さないで、一国の単独の行動として戦争をおこしたのがロシアだ。国連を通さずにそこをすっ飛ばしてしまっているので、意思決定の過程にまずさがあり、手つづきの正義が満たされていない。

 そもそもの話としては、いかなる戦争であったとしてもそれをやってはならないのがある。武力の行使は原則としてしてはならず、例外のときにだけ限定して許されるのにとどまる。国連の憲章ではそう定められている。

 かりにロシアが戦争をやりたいのだとしても、戦争をやってよいのかどうかを国連にうかがいをたてるようにするべきだった。国連にうかがいをたてるようにすれば、最短の距離の過程をとることを避けられて、最長の距離をとることができる。

 ロシアは最短の距離をとることによって、戦争をおこすことを決めてしまった。一国の単独の行動をとることによる。西洋の哲学の弁証法(dialectic)で言うと、正と反と合がある中で、正つまり合としたことになる。反が欠けた形の正だけの止揚(aufheben)だ。

 国連にうかがいをたてるようにしていれば、最短の距離をとることを避けられて、最長の距離をとることができた。弁証法でいえば、正にたいして反をくみ入れることができた。正だけではなくて反をきっちりとくみ入れるようにすれば、戦争をやらないようにすることができた見こみがある。戦争をするのではないような合にいたれた。

 ロシアがとった行動は、手つづきの正義にまずさがあるので、あとに禍根(かこん)や遺恨(いこん)が残る見こみが高い。しこりが残る見こみが高い。

 あとに禍根や遺恨やしこりを残さないようにするには、手つづきの正義をしっかりととるようにすることが必要だった。国連を通すようにして、過程にしっかりと力を入れて行く。最短の距離をとることを避けて、最長の距離をとるようにして行く。

 最短ではなくて最長の距離によれていれば、弁証法でいうところの、うまいぐあいの合にいたれた。うまいぐあいの合にいたれて、うまい落とし所にいたれた。うまいぐあいの合やうまいぐあいの落とし所とは、少なくとも戦争にいたることは避けられたことをさす。

 何が正しいことなのかはわからないのがあるから、そこでいることになるのは、せめて過程のところの手つづきの正義をしっかりととって行くことだろう。実質としては何が正しいのかはわからないのがあるから、形式の手つづきのところに力を入れるようにして行く。

 過程の手つづきのところに力を入れず、形式のところにまずさがあるのがロシアのとった行動だ。形式のところに力を入れて、そこを充実させる努力を怠った。ロシアには、国としてなすべき努力がなされていなくて、怠慢があるのがわかる。

 ほんとうにロシアのとった行動が正しくて、戦争をやることが正しいことなのであれば、実質として正しいことになる。実質として正しいことなのであれば、形式をきちんととることができるはずだけど、形式のところにまずさがあるのがロシアだろう。形式にまずさがあるのであれば、実質として正しくない見こみが高い。実質として正しくないから、形式がとれていない。そう見なすことがなりたつ。

 形式に欠けているところがあるから、実質としても正しくないといえるのが、ロシアのとった行動だろう。段どりとしては、形式をきちんと満たしたうえで、実質としても正しいかどうかを見て行くべきだった。形式をきちんと満たせていれば、実質としても正しい見こみがおきてくるので、安全性がやや高まる。

 形式のところを満たさずに、そこが欠けたままで、実質の正しさをとってしまうのは、ロシアだけではなくてアメリカもやったことだ。アメリカがすでにやったことの、同じ轍(てつ)を踏んでいるのがロシアだと言える。アメリカがつくった轍を踏んでいるのがロシアだろう。アメリカもロシアもどちらもが批判されることがいるが、そのさいに、アメリカがやったことなのだからロシアもやってよいはずだとはならないから、ロシアはロシアできびしく批判されなければならない。

 参照文献 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『よくわかる法哲学・法思想 やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ』ミネルヴァ書房 『まっとう勝負!』橋下徹