ツイッターで与党を利する情報政治が野放しになっている

 ツイッターで、野党を悪く言うようなツイートを主としてツイートする。そのアカウントが、法人によって運営されていたことが明らかになったという。

 ツイッターで野党を悪く言い、与党である自由民主党の肩をもつアカウントが、法人によっていた。法人は、その活動を商品として自民党に販売していたおそれがあるという。このことについてをどのように見なすことができるだろうか。

 じっさいに行なわれていたのとは逆に、野党のことをよく言い、自民党を悪く言うような活動を法人が行なっていて、その商品を自民党が購入していたとしたら、倫理による消費の行動だったと言えそうだ。自民党の悪いところはもっとたくさんどんどん明らかにされたほうがよいので、自民党をきびしく追及して批判するようなことにお金が支払われれば倫理的(ethical)でありまっとう(decent)な消費だ。

 自民党が民間の法人にやらせる形で、自民党がお金を支払い、野党のことを悪く言うようなツイッターの活動を法人にやらせていたのだろう。これの意味することは、自民党による情報政治(infopolitics)が行なわれていたことをしめす。ツイッターの中において、情報が政治性や作為性を強くもつことになる。

 ツイッターの中で自民党をよしとする活動が行なわれていて、それが野放しになっていた。そうした自民党とつながりのある法人のアカウントは、国家のイデオロギー装置であることをしめしている。ときの権力のたいこ持ちであり、権力の奴隷である。

 ツイッターの中において、権力に寄生する法人のアカウントが一定の力をもつ。権力に寄生するものが力を持ち、冷笑主義(cynicism)がおきるのは、ナチス・ドイツが出てきたときに見られたものだという。学者のペーター・スローターダイク氏による。

 ときの権力に批判の声をあげるようなことが弱まり、権力に寄生するのや冷笑主義のものがはびこっている。ツイッターにおいてはそれが見うけられる。ナチス・ドイツで見られたものと同じようなことがおきているのである。それを象徴するのが、自民党とつながりがあって、野党を悪く言っていた法人のアカウントだろう。

 じっさいに行なわれていたのとは逆に、自民党のことを悪く言い、野党のことをよしとするようなものが力をもつ。中心である自民党が脱中心化されて、辺境にあるような野党などの辺境者がよしとされる。中心に近づいて行くほどに利益を得られるのではなくて、辺境にいる辺境者が利益を受けられる。辺境者が無視されたり軽んじられたりするのではなくてしっかりと承認される。そういったようであれば、ナチス・ドイツと同じようになるのを避けやすい。権力への寄生や冷笑主義が強まるのを防ぎやすい。

 いまの日本はナチス・ドイツのあり方に近づいていっているところがあるので、日本の国の中でいま中心にあるようなものがもっと脱中心化される必要がある。中心への志向が強いままで、中心が力を持ちつづけるのではなくて、いかに辺境にいる辺境者が力をもつことができるのかがある。正統にたいして異端がいかに許容されるかが、日本のあり方を改善して行くためにいることなのだと見なしたい。

 参照文献 『本当にわかる現代思想』岡本裕一朗 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『情報政治学講義』高瀬淳一 『情報汚染の時代』高田明典(あきのり) 『内なる辺境』安部公房(こうぼう)