自民党では悪夢ではなく、民主党のときは悪夢である(だった)のか―十分条件と必要条件で見てみる

 かつての旧民主党政権の時代は悪夢だった。その時代に戻してはならない。ツイッターのツイートではそう言われていた。

 いまの与党である自由民主党による政権と、かつての民主党の政権とを対比してみる。そのさいに、十分条件と必要条件によって見てみることがなりたつ。

 十分条件というのは、そうでありさえすればよいというもの(十分な条件)である。必要条件というのは、それがなければならないものである。それがあることが欠かせない。

 ほんとうのことかどうかは置いておくとして、たとえば消費税を上げたら景気が悪くなったというさいには、消費税を上げることは景気が悪くなることの十分原因だととらえられる。ほかに景気を悪くするもとがいくつかあるのなら、消費税を上げることは景気を悪くすることの必要原因となるだろう。

 因果関係では、隠れた原因というのがあることがあるから、それの見落としに気をつけないとならないとされていて、ほかにも気をつけるべきことが色々とあるとされるから、早とちりは禁物だ。原因と結果の取りちがえとか、関係がなかったとか、色々な複数のちがう仮説がなりたつ。

 民主党の政権のときは悪夢だったというのは、民主党の政権であることが悪夢であることの十分条件となっている。十分条件ではあるとしても、必要条件ではないので、たとえばいまの自民党の政権であっても悪夢であることは十分にありえる。

 いまの自民党による政権は、民主党の政権のときのような悪夢ではないのだとしても、自民党による政権ではなくてもそれは十分にありえることである。悪夢ではないのであるためには自民党による政権でなければならないとは言えないだろう。自民党による政権でなければならないとは言えないのは、悪夢ではないことの必要条件ではないということをしめす。

 参照文献 『実践ロジカル・シンキング入門 日本語論理トレーニング』野内良三(のうちりょうぞう) 『クリティカルシンキング 入門篇 実践篇』E・B・ゼックミスタ J・E・ジョンソン 宮元博章 道田泰司他訳