日本は、軍事にお金をかければかけるほど良くなるのか―軍事費を増やせば増やすほど日本は良くなるのか

 軍事に使う税金を、いまよりも増やして行く。日本はそうしようとしている。

 これから先に、いまよりも軍事に使うお金を日本は増やして行くべきなのだろうか。

 もっと軍事に使うお金を増やすべきであるどころか、すでにいま軍事に使われているお金ですら多すぎる。増やすのではなくて、減らして行くべきなのが、軍事に使うお金だろう。

 増やすようにすることで、おおよくやったとはいえそうにない。その逆に、減らすようにするのなら、おおよくやったと言えるのが、軍事にお金を使うことで言えることだろう。

 すでにいま使われている軍事のお金には、正当性が十分にあるかはうたがわしい。正当性に疑わしさがあるのだから、これから先に軍事に使うお金を増やすのには、ますますそこに正当性があるのかがしっかりと確かめられなければならない。そうとうにしっかりと正当性が確かめられることがなければ、よしとはできないはずだ。

 おなじ税金をかけるのでも、福祉などにかけるのならまだよいが、軍事にかけるのはよいことではない。軍事にお金をかけるのであれば、おなじお金を福祉などにかけたほうがよほどよいことだろう。

 正当性に疑わしさがあることでは、どういった目的のために税金を使うのかがある。日本が戦争をやらないようにして、平和になるようにするのを目的にするのであれば、軍事ではなくて、ほかのことにお金を使うやり方もある。

 目的を達するためのお金の使い方には、いろいろなやり方があるのだから、軍事にお金を使うよりももっとよりよいものが探せばありそうだ。目的を達するためにより有効なことをやればよいのだから、かならずしも軍事にお金をかけることはいらない。軍事にお金をかけずして目的を達せられるようなやり方をとるべきであり、それを探るべきである。

 どんどん軍事にお金をかけて行くべきだとしているのが与党である自由民主党だが、そこには正当性に疑わしさがあり、疑問符がつく。たとえこれから増やさずとも、いままでにすでに使われている軍事への税金にも、そこまで十分な正当性があるとは言えそうにない。

 増やして行くのではなくて、そのままにするのでもなくて、減らして行ければそれがいちばん最良なのが軍事への税金だ。軍事にかけるお金を減らせれば、軍事そのものも減らせるので、軍縮になる。軍備の拡張である軍拡をやったら、国どうしでその競争になってしまう。

 国どうしのあいだで軍拡の競争になるおそれが高いから、それだと国民のためになるとはいえそうにない。なにが国民にとってよいことなのかと言えば、どんどん軍事にお金をかけて行き、お金をかける量を増やして行くことなのだとは言えそうにない。

 増やすのがよいことなのではなくて、その逆である減らして行くのがよいことだから、自民党が言っていること(thesis)とは逆のこと(antithesis)がよいことだ。西洋の哲学の弁証法(dialectic)でいえば、正と反と合がある中で、自民党が言っていることつまり正を、そのまま合にしてしまうのではなくて、それにたいする反(軍縮)を言い、日本にとってよりのぞましい合の止揚(aufheben)にして行く。

 弁証法では、自民党の言う正だけだと、軍拡へとつっ走って行くことになる。自民党の言う正だけだと、抑制と均衡(checks and balances)がかからない。正つまり合にしてしまうと、抑制と均衡がかからず、国がまちがった方向につっ走って行くおそれが高い。

 参照文献 『幻想の抑止力 沖縄に海兵隊はいらない』松竹伸幸 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫