日本と韓国のあいだの歴史戦と、日本の国の創造性のなさ―創造性の MRS の理論で見てみる

 日本と韓国とのあいだで、歴史戦をやって行く。歴史戦をたたかって行く。

 日韓のあいだの歴史戦では、どうであれば日本は勝つことになるのだろう。勝ちと負けはどのようにして決まるのだろうか。

 歴史戦の勝ち負けでは、日本の国がどれくらい創造性を高められるかによる。創造性が低ければ負けであり、それを高められれば勝ちになる。そう見なしてみたい。

 いまのところは、日本の国は創造性がかなり低い。負けている。そこから勝つためには、創造性を高める努力を日本の国はして行かないとならない。

 たんに日本の国のことをよしとするだけでは、創造性は高まらない。日本の国をよしとするものだけしか許容しないのだと、すそ野が広がらずに、すそ野がせばまる。

 許容されるものが多いほうが、すそ野が広がるから、使える資源(resources)が増える。資源が少ないよりも多いほうが、創造性は高まりやすい。

 日本の国をよしとするものだけしか許容しないのだと、使える資源が少ない。資源がとぼしいから、創造性が高まりづらい。せっかくいろいろな資源がいっぱいあるのだとしても、そのうちのほんの少しのものしか使われなくなり、あとのものは目が向けられなくなる。宝のもち腐れになる。

 すそ野がせまくて、許容されるものが少ないと、使えるものの量が少なくなる。これはだめ、あれはだめとなるから、しきいの線が高くなる。国家主義(nationalism)によるのだとそうなってしまう。自国が自分たちで自分たちの首をしめてしまう。

 すそ野が広くて、許容されるものが多ければ、使えるものの量が多くなる。これもよい、あれもよいとなるから、しきいの線が低くなる。いろいろな表現が自由に行なわれて、それが自由に使える。よりよい表現が生まれやすい。どちらかといえばそう言えるだろう。

 すそ野が広くて、許容されるものが多いほうが、使えるものの量が多くなるから、国力(国の力)は高まりやすいだろう。国家主義だと、すそ野をせまくして、許容されるものを少なくするから、使えるものの量が少なくなり、国力が落ちる。しきいの線が高くなることで、国の力が低くなってしまう。このさいの国の力とは、創造性が高いか低いかである。

 韓国とのあいだでたがいにやり取りを重ねていって、正しい歴史を見て行く。日本の国は、それをやって行く動機づけ(motivation)をほとんど持っていない。どのような動機づけを日本の国は持っているべきなのかといえば、たんに、日本の国のことをよしとするような愛国の歴史によるのではよくない。

 できるだけ創造性を高めて行くためには、日本の国をよしとする愛国によるのではない形で、歴史の正しさをさぐって行く。閉じているのではなくて開かれた中で、韓国とやり取りを重ねて行く。日本の国はそれをやって行く動機づけを持つことがいるが、それが持てていなくて、たんに愛国の歴史への動機づけが強いだけだ。

 外発と内発の動機づけがある中で、日本の国をよしとしてしまうと、外発の動機づけが高まることになる。それによって内発の動機づけが弱まってしまう。日本の国の創造性を高めるには、内発の動機づけを高めて行かないとならない。ほめられるとか利益を得られるといった外発の動機づけによりがちなのが日本であり、たんにそれをやることがいるからやるといった内発の動機づけが弱い。

 独話によるのが強いのが日本の国にはあり、対話によってやって行くのが弱い。交通でいうと、他に一方的に働きかける単交通なのが強い。自分とはちがうものどうしのあいだで、双方向性による双交通で対話をして行くのが日本は弱いのがあると言える。

 日本の国の政治を見てみると、政治家が国民にむけて言葉で説明する力が弱いのがある。言葉で説明するよりも、言わなくてもわかってもらえるといったあり方になりがちだ。日本の国は、言葉によってものごとを客観に説明する技術(skill)が弱く、また受けとめる技術も弱い。聞く技術もまた弱い。聞く技術が弱いのは、国民からの声(下からの声)がないがしろにされやすく、上にすくい上げられづらいことに見てとれる。

 創造性の MRS の理論で見てみると、動機づけと資源と技術の三つのどれもにまずさをかかえているのが日本の国にはあると言える。歴史戦をたたかって行くのにしては、力がとぼしいのが日本の国だろう。ひん弱な力しか持っていない。

 自と他の二つに分けて見てみると、そのうちの他である韓国のことは置いておけるとして、自である日本の国はどうなのかがある。歴史戦において、自と他があるうちで、自である日本の国はどうなのかといえば、その創造性はかなり低い。

 日本の国の創造性が低いことが、いろいろなことの悪さやまずさのもとになっている。創造性の低さがわざわいしているのだ。そこをいかに高められるのかがかぎであり、そこを高められなければ、いくら日本の国をよしとする愛国の歴史によるのだとしても、たんなるごまかしにしかなりづらい。肝心なことができていないままになる。創造性における動機づけと資源と技術の三つの点の、そのどれもに日本の国はまずさをかかえていることを直視するべきだろう。

 参照文献 『創造力をみがくヒント』伊藤進 『〈聞く力〉を鍛える』伊藤進 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ)