野党の追及のせいで、役人が自殺をしてしまったのか―野党に原因があるのか

 政権が公文書を改ざん(書き換え)していたことがわかっている。財務省においては、下の地位の役人が公文書の改ざんをさせられて、そのことを苦にして自殺をしてしまった。自殺をした役人の夫人が、国と裁判をやっていたが、国は金銭を支払うことによって一方的に裁判を終わりにした。

 与党である自由民主党の政権では、いくつもの公文書の改ざんが行なわれているが、それを野党は追及していた。財務省で公文書の改ざんをさせられた役人が自殺をすることになったのは、野党が追及をしたせいだと言われるのがあるが、それはふさわしい見かたなのだろうか。

 なにを追及して解明しなければならないのかを分けて見るようにしたい。ひとつには、与党の自民党が行なった公文書の改ざんを、解明して行かないとならない。もう一つには、公文書の改ざんをさせられた役人が自殺をしてしまったのがあり、そのことを見て行くのであれば、それを解明して行くべきである。

 どちらかといえば、政権が行なった公文書の改ざんを解明して行くほうが易しいだろう。そのことを追及するさいに、野党がそれをやることになるが、公文書の改ざんを行なった政権は、危機管理をしなければならない。それができていなくて、危機に対応していなくて、危機から逃避しつづけているのが政権だ。

 野党が追及をしたせいで、役人が自殺をしてしまったのかどうかは、その解明はむずかしいだろう。どうして役人が自殺をしてしまったのかは、心理が関わってくることだから、単純な原因と結果の因果関係では説明しづらいことかもしれない。公文書の改ざんについてを解明して行くよりもよりむずかしさがある。

 自殺がおきてしまったことは、すでにおきてしまった原象だから、その原因を見て行くさいには、できるだけ深く見て行くことがいる。民間の自動車会社のトヨタ自動車で行なわれているような、なぜ(why)の問いかけを何回もくり返すことをやって行く。自殺の要因を体系(system)として見て行く。いろいろにある自殺の要因の中で、核となるものを見つけて行くことがいる。

 公文書の改ざんは行なわれるべきではなかったことであり、それとともに、下の地位の役人が改ざんをさせられることもあってはならないことだし、改ざんをさせられた役人が自殺をしてしまったこともおきるべきではなかったことだ。これらのおきるべきではなかったことが、現実にはおきてしまった。

 理想論としては、公文書が改ざんされるべきではなく、汚れた仕事である改ざんを下の役人にやらせるべきではなく、役人が自殺することはおきるべきではなかったが、現実論としてはそれがおきたことは否定できない。理想論のようにはならなかったのが現実論としては言えるので、そこに問題があることはいなめない。問題があるのであれば、それをとり上げて追及して解明して行くことは避けられない。追及と解明は、公文書の改ざんについてが主であり、野党がそれをになうのであるのとともに、政権が危機管理をきちんとやって行かないとならないものである。

 公文書の改ざんについて、政権が危機管理をやるさいには、政権が自分たちで改ざんの原因を引き受けないとならない。政権が自分たちで行なったのが改ざんなのだから、野党に原因があるわけではない。野党に原因があるのだとするのは、政権が自分たちで行なったことについての原因を引き受けないことであり、危機に対応していなくて、危機から逃避していることをしめす。

 野党が追及をしたから、役人が自殺をしてしまったのだとするのだと、野党に原因があることになるが、そうではなくて、政権に原因があるのであり、政権が危機管理ができていないことが原因だ。役人の自殺の原因が、野党になすりつけられているところに、政権が危機管理ができていないのがあらわれている。

 参照文献 『危機を避けられない時代のクライシス・マネジメント』アイアン・ミトロフ 上野正安、大貫功雄(おおぬきいさお)訳 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『公文書問題 日本の「闇」の核心』瀬畑源(せばたはじめ)