野党の政権になったら、日米の関係は終わるのか―日米の関係の虚構性

 もしも野党である立憲民主党が政権をとったら、日本とアメリカとの同盟は終わる。日本とアメリカとの良好な関係は終わってしまう。共産党が入った政権になればそうなるのだと、与党である自由民主党の元首相は言っていた。

 元首相が言うように、野党が政権をとったら日米同盟は終わってしまうのだろうか。日米の良好な関係にひびが入ってしまうのだろうか。

 かりに野党が政権をとって、日米同盟が終わることになるのであれば、それはそれですごいことだ。日米同盟が終わるのなら、これまでの日本のあり方が大きく転換することになる。大きな転換がおきるのは、よくも悪くもすごいことだろう。

 日本ほどの(いまのところは)それなりの大きさの国だと、急に大きな転換をすることはできづらい。いままで日米同盟がなりたっていたのを、急にやめることはできづらいのがある。急に大きな転換をすることで大きな衝撃をおこさないために、いままで行なわれていたのをこれから先も基本としては行ないつづけると見るのがふさわしいものだろう。

 日米同盟が終わることになるのであれば、むしろ野党の政権が終わることになると言えそうだ。日米同盟が終わるのよりも野党の政権が終わることになる。野党の政権が失脚させられる。可能性としてはそのほうが高い。

 自民党のなかでは、アメリカにすり寄ればすり寄るほど党の中で上の地位に上がって行きやすい。アメリカと距離をとろうとすればするほど上の地位には行きづらい。そこにまずさがあるのであり、あり方がゆがんでしまっているのだ。党の中で上の地位に行きたいがために、アメリカにすり寄っているのである。アメリカにすり寄ることを、自分の地位の向上のための手段にしてしまっているのが駄目なのである。

 アメリカにくっついて行きさえすれば、日本の国はうまく行く。戦後の東西の冷戦がなりたっていたころにはそれが言えたところがあるとしても、いまはそれが言えなくなっているところが大きい。アメリカはこれまでに国の外でまちがったことをいろいろにやって来ていて、これから先にもまちがったことをやるおそれが高く、日本がそれに巻きこまれてしまうおそれが高い。アメリカがやることは何でも正しいのだとするのはまちがいであり、日本がアメリカに盲目的にくっついて行くのはまちがったことだろう。

 大前提として、そもそもアメリカにくっついて行きさえすればそれでよいとはならなくなっている。戦後の東西の冷戦のころにはそれがなりたっていたところがあるけど、冷戦が崩れてからはその大前提がとれなくなっている。いまだにかつての冷戦のころの大前提にしがみつきつづけているのが自民党のあり方だろう。

 冷戦のころの大前提にいまだにしがみつきつづけるのではなくて、新しい大前提をどうするのかを探るべきだ。それを探るためには科学のゆとりを持たなければならない。アメリカに任せて、アメリカにくっついて行くのではなくて、アメリカとの関わりにおいては、アメリカのどこが良くてどこが悪いのかを分けるようにして行く。良いところは見習い、悪いところは批判をして行く。その逆に、良いところは見習わず、悪いところは取り入れているのが日本だろう。

 科学のゆとりが欠けているのが日本であり、新しい大前提をどうするのかを探れていない。そもそも日本としてこれから先にどうして行くのかを探るには、これまでの歴史を客観にふり返ることがいるが、日本では歴史修正主義がはびこっている。歴史のふり返りがいい加減なのが日本にはあり、そのことがもとになって、いまの日本の混迷があると言える。日本の負の歴史をもっとしっかりとふり返ることがいる。かつての歴史のまちがいを再びくり返さないためにはそれがいるが、歴史修正主義がはびこっているようでは負の歴史のふり返りがきちんとできづらい。

 参照文献 『時代の抵抗者たち』青木理(おさむ) 『時代の異端者たち』青木理 『絶対に知っておくべき日本と日本人の一〇大問題』星浩(ほしひろし) 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ)