五輪と自由―上からの強制の他律性(heteronomy)と、自由な見なし方の自律性(autonomy)

 ウイルスの感染が広がっているなかで、東京都で夏に五輪をひらくべきなのだろうか。そのさいに、五輪がどうであるべきなのかについて、自由であるべきだとしてみたい。

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染が広がっていることによって、五輪が最高の価値をもたないものであることが明らかになってきている。最高の価値をもつといえるほどのものではないのが五輪であることがあらわになっている。

 ウイルスの感染がおきていなければ、五輪がかなり高い価値をもつものだとよそおいやすかった。ウイルスの感染がおきていなければ、五輪をひらくことが当たり前のことだとされるので、五輪が最高の価値をもたないものであることを隠しやすかった。

 おおい(cover)をしてあるのがはげやすくなっている。発見(discover)されやすい。五輪についておおいがしてあるのがはげやすくなっていて、はげてきていることによって五輪が最高の価値をもたないことがわかりやすくなっている。客観であるよりは主観の価値によっているのにすぎないことが見てとりやすい。

 最高の価値をもつものではないし客観の価値でもないのが五輪だろう。哲学者のニーチェは神の死を言ったが、神が死ぬことによって最高の価値が没落した。価値の多神教になる。どれかの価値が他よりもより抜きん出るのよりも、さまざまな価値がたがいに並び立つ。

 最高の価値が没落して価値の多神教になっていることをくみ入れてみると、五輪についてできるだけ開かれた中で自由なことが言われたほうがよい。ウイルスの感染が広がっていることで、よけいに最高の価値であることや客観の価値であることがなりたたなくなっていて、化けの皮がはがれやすくなっている。

 おおいが取り外されているのがあるために、化けの皮がはがれてきている。五輪についての自由な見なし方がいろいろに取られることにならざるをえない。自由にならざるをえない。

 自由にならざるをえないのがあるなかで、強引に不自由なあり方でやって行こうとしているのが与党である自由民主党による政権だ。自由にならざるをえないことを認めずに、不自由な中で五輪をおし進めようとしているのが政権だ。

 自由になっている中で不自由さによっているのが政権だから、そのあいだにずれがおきている。ずれがおきていることによって政権は虚偽意識におちいっている。政権の虚偽意識が強まっているのがあるが、それを改めるためには、自由になっていることを認めて受け入れることがいる。

 政権が上から押しつけるようにすると不自由になる。政権が上から強制すると不自由になるから、そうしたやり方によらないことがのぞましい。自由主義(liberalism)によるようにして、できるだけ政権が上から強制することがないようにして、自由で開かれた中でものごとを見て行けるようにして行きたい。

 最高の価値や客観の価値をもつものが五輪だとすることによって、五輪をひらくことをおし進めているのが政権だ。ウイルスの感染が広まっていなければ政権の不自由さによるやり方が通じたかもしれないが、ウイルスの感染がおきていることによってそれが通じづらくなっている。最高の価値や客観の価値をもつものではないのが五輪なのがわかりやすくなっているために、五輪はみんなにとってよいものなのだとしたて上げたり基礎づけたりできづらい。

 五輪はみんなにとってよいものなのだとしたて上げたり基礎づけたりできづらくなっているのがある。そこを無理やりに不自由なかたちで強引に五輪はみんなにとってよいものなのだとしたて上げたり基礎づけたりしようとしているのが政権だ。

 五輪をよいものだとしたて上げたり基礎づけたりする。それをなそうとしているのが政権だが、政権のそのもくろみは失敗しているのがある。成功していない。成功せずに失敗しているのは、五輪についてを自由にいろいろに見て行けることをしめす。不自由な上からの強制のあり方が通じなくなっていて、自由になっているのがあるから、政権はそのことを認めるようにするべきだろう。

 神の死がおきていて、最高の価値が没落しているのがあるから、一つの価値だけが他よりも大きく抜きん出ることはできづらい。政権が五輪においてやっていることは、いわば神はまだ生きているとしているようなものである。ウイルスの感染が広がっていないのであればそれが通じたかもしれないが、ウイルスの感染が広がっているのがあるためにそれが通じないことが明らかになっている。神の死になっている現実があるのにもかかわらず、まだ神は生きているとしているのが政権であり、神の死亡の宣告を受けとめようとしていないのが政権だろう。

 参照文献 『本当にわかる論理学』三浦俊彦現代思想の断層 「神なき時代」の模索』徳永恂(まこと) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき)