編集の順機能と逆機能(プラスとマイナス)

 編集には、順機能と逆機能がある。編集による取捨選択は、よいところがあるが、悪いところもある。

 大づかみな対比ではあるけど、編集されたものとしては、テレビや新聞がある。編集されていないものとしてウェブがある。このちがいはあくまでも相対的なものにすぎないのはあるが、編集されていることがかえってあだになっていることは少なくはない。

 編集されて取捨選択されることによって、それが悪くはたらく。偏向みたいなことになる。それが、編集の逆機能ということだ。

 テレビや新聞は、時の政権の顔色をうかがわざるをえないのがある。政権に忖度したり、政権から圧力がかかったりするのを避けづらい。そこから、たとえ有益な情報であったとしても、政権に都合が悪いことは、はねられてしまうのだ。

 ウェブは、編集されていないというか、それがあまりないことでかえってよいところがある。テレビや新聞であまりとり上げられていないことでも、大きくとり上げられる。これは、編集されないことの順機能だ。

 いずれにしても、受け手が情報に接するさいには、たとえそれがどんな媒体であろうとも、それなりの受けとり能力(リテラシー)が求められるのはたしかだ。それとともに、割り切れないということで、絶対ではなく相対だというのがある。これといった単一の(唯一の)正解がないことは少なくはない。

 参照文献 『日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた』元木昌彦 『知の編集術』松岡正剛