アメリカに頼っていて、日本の首相は外交に強いということが言えるのだろうか

 いまの首相は、外交が得意なのだと言われている。外交の安倍とされる。ロシアやアメリカの大統領と、仲よくすることができる。ロシアやアメリカの大統領に、さかんにとり入ろうとしている。このことは、野党の議員から、会う回数だけ多いことから、お百度をふむかのようなものだと言われていたものではあるが。

 外交が得意だというのであれば、なぜアメリカのドナルド・トランプ大統領にさかんにとり入ろうとするのだろうか。そこが腑に落ちない点だ。

 日本とアメリカという二国間の関係では、アメリカが強く出てきて日本が圧をかけられたさいに、日本は逃げることができづらい。アメリカが強く圧をかけてきて日本をなぐってきたら、日本はどうするつもりなのだろうか。

 日本のいまの首相が外交が強いというのであれば、アメリカに頼るのをやめたらどうだろうか。アメリカに頼って、日本のまわりにある東アジアの国との関係を何とかしようというのは、アメリカを仲介したあり方だ。

 アメリカを仲介するのではなくて、日本のまわりにある東アジアの国との関係を、日本が主体となってできるだけ友好なものになるように築いて行く。二国間とともに、多国間の友好なあり方を探る。そう動いて行くのであれば、外交に強いというか、外交にがんばっているということは言える。

 東アジアにおいて、アメリカを仲介するのではなく、日本が主体となって、まわりの国との二国間や、多国間の友好な結びつきを探って行く。そう動くのではなくて、たんにアメリカに頼って、アメリカの仲介によった、日米の結びつきで何とかなるというあり方であれば、外交に弱いというのが本当のところとなる。

 外交をよくするためには、せまい見かたにおちいらないようにして、日本の国にとって都合が悪い過去のことにも目をそむけないようにすることがいる。過去の悪いところは悪いというふうにきちんと認めて、想起しつづけて風化させないようにして行く。それを経たうえで、日本がもつ資源をできるだけはば広く用いて、東アジアのまわりの国との創造的で友好な関係を築くことを探るのはどうだろうか。

 首相が外交に強いか弱いかとは別に、日本は国として外交に強くない(弱い)というのが言われている。日本が国として外交に強くないのは、政治にまつわる公の文書や情報を、管理したり公開したりするのが十分ではないためだ。そこに力を注いできていない。

 公の文書や情報を管理する専門家を充実させたり、それを公開することを行なったりする。歴史(過去)の認識などがいい加減にならないようにするために、公の情報に多くの人が接近(アクセス)できるように、開かれたものにすることがいる。そうしないと、日本の国が言うことが、他の国に説得性をもって響くことはのぞみづらい。

 参照文献 『姜尚中政治学入門』姜尚中(かんさんじゅん) 『姜尚中にきいてみた! 東北アジアナショナリズム問答』姜尚中(かんさんじゅん) 「アリエス」編集部編 『シンクタンクとは何か 政策起業力の時代』船橋洋一