NHK は、報道において、報じることの優先順位や重要度のつけ方がおかしいが、これは情報の媒体の性質が関わってくるのがあるから、あるていどはしかたがない面もある

 NHK は、テレビの報道において、もっと重要なことをとり上げてほしい。さして重要ではないことはあまりとり上げないか、まったくとり上げなくてもよい。NHK やそのほかの民法の放送局には、報道においてとり上げることの優先順位や重要度についてもっと改善してほしいのはあるが、これには情報の媒体の性質が関わってくる。

 映像や動画の情報を流すのがテレビ番組だが、テレビ番組から受けとる情報は、とうぜんのことながら、テレビ局が決めることだ。テレビ局が決める情報の送る順番に、受けとるほうは従わざるをえない。これはなぜそうなるのかというと、映像や動画の情報は、(情報を伝える)媒体のはたらきとして、時系列性(シークエンシャル・アクセス)によるためだ。

 映像や動画の情報ではなくて、たとえば新聞やウェブなどの文字の情報であれば、時系列ではない受けとりかたができる。自分が好きなものを好きなように受けとるのが気まま性(ランダム・アクセス)による接しかただ。気ままに接することができるという点で、映像や動画の情報よりも、新聞やウェブなどの文字の情報のほうがよりすぐれている。情報に接して受けとるさいの、接近(アクセス)のしかたのちがいだ。

 時系列性と気まま性は、音楽と絵画になぞらえられる。音楽ははじめから終わりまで順番に聴かないとならない。それとはちがって絵画は全体を見たければひと目で見られるし、見たい部分を見たいときに見られる。

 参照文献 『新聞の読みかた』岸本重陳(しげのぶ)