中国と協調しようとするのはよいことだが、国外(中国)では弱気ということだとすれば、場面ごとにあり方が恣意で変わってしまっている

 首相は新たな三原則を中国にたいしてとったという。競争から協調、脅威ではなくパートナー、自由で公正な貿易体制の発展、の三つである。

 中国は古くから日本の手本だったと首相は言う。中国は長く日本のお手本だった。漢字や仏教や社会制度や都市づくりが中国から日本に伝わった。

 日本が国としての形を整えるさいに、中国の社会制度がとり入れられたと言われている。中国のほうが進んでいたために、それを模倣したということだろう。

 国内では中国や韓国にきびしく、強気のありかたを首相はとっている。中国を訪れて、それがどこかへ吹き飛んでしまったのだろうか。中国に協調のあり方を示すのは悪いことではないが、国内でのこれまでにとっていた首相の姿勢とは一貫性に欠ける。そこを批判したいのがある。

 中国は大国であり、その大に事(つか)えるという事大主義が首相にはかいま見られる。これは同じ大国であるアメリカに厳しいことを言わず(言えず)に従順なのと同じである。大きいものに弱い。日本の国内でもこのあり方ははびこっている。

 国内では中国や韓国に威勢のよい姿勢を示しているが、いざ中国を訪れると、協調の姿勢を示す。場面がちがうとあり方がちがってしまっている。対立(敵対)もよし、協調もよしといったような一貫性のなさだ。これはつり合いがとれていたり柔軟性があったりするのだとは見なしづらい。ひどくいい加減なのだというしかない。