総裁選と、米中と日本―他国との関係をどうして行くか

 中国との関わりがある総裁選の候補者がいる。中国のことをよしとするのは日本の国の利益に反するので、中国と関わると日本がだめになる。中国と交わるような候補者はけっして総裁選で選ばれてはならない。そうされているのがある。

 日本のとなりに位置する中国と関わりがあるような候補者は、与党である自由民主党の総裁選において選ばれてはならないのだろうか。日本のとなりの国である中国や韓国をよしとすることはあってはならないことなのだろうか。

 いまは与党である自民党で総裁選が行なわれていて、四名の候補者がたがいに競い合っている。候補者の中にはこれまでに中国との交わりがあった政治家もいるが、中国に近づいたことがあるから駄目だとは必ずしも言えそうにない。

 どういったことが与党である自民党の総裁選においてとり上げられなければならないのかといえば、その一つとしては、国の外において日本がどういうふうにほかの国との関わりをなして行くべきかだろう。たんにこれまでのようにアメリカについて行けばよいとはならなくなっているのがある。

 これまでのように、国の外において、アメリカと協調していればよいとはならなくなっている。アメリカと完全に協調しているとはいえないのがあり、アメリカと日本とのあいだには対立があることはいなめない。協調とともに対立がなければならない。

 日本の国の利益とはそぐわないといったことで、ただたんに中国と対立するだけなのは行きすぎたあり方だ。中国と日本との関わりは対立するだけではなくて協調するところがなければならない。たとえこれまでに少しでも中国と関わったことがあるからといって、それを持ってして協調だけによっているとするのはふさわしい見なし方だとは言えそうにない。中国との関わりをもち、協調するようにするのとともに、対立することも行なって行く。協調と対立の両方を行なって行くやり方もやりようによってはできるものだろう。

 どのように日本の国を防衛するのかにも関わってくることではあるが、これまでと同じようにしてアメリカにただくっついて行きさえすればうまく行くのだとは言えなくなっている。これまでと同じようにただたんにアメリカに寄りかかるだけではなくて、日本は日本としてどのようにほかの国との関わりをやって行くのかを探りようにして行きたい。

 これまでにアメリカは国としていろいろにまちがったことを行なってきている。これから先もまちがったことをやって行くことが予想できるから、それにただ日本がついて行くだけだとまちがったことに日本が巻きこまれることになる。日本がまちがったことに巻きこまれやすくなっているのがあり、それを避けるためにはアメリカと一定より以上の距離をとるようにしたい。

 どういったあり方でやって行くのかのあり方を日本は日本として持つべきだろう。ほかの国との関わり合いについて、日本としてはどうやって行くようにするのかをはっきりと明示できるようにする。それに根ざしてやって行くようにする。どういうあり方がふさわしいのかにはいろいろな見なし方があるが、そのなかの有力なものとしては、憲法の前文でいわれる平和主義によってやって行く。敵となるような国をつくらないようにする国際協調主義によってやって行くようにする。

 中国との関わりにおいては、日本のあり方は対立しすぎているところがあり、協調がもっと(もう少しは)あってもよい。そう見なせるのがあるかもしれない。つり合いをとって行く。中国とのあいだには対立があるから、その点では中国と距離をとれているのがあり、日本は日本としてこうだといったところがないことはない。

 アメリカとの関わりにおいては、日本は協調しすぎてしまっていて、対立が欠けている。アメリカにくっついて行きすぎているので、アメリカとはちがい、日本はこうなのだといった自分たちの意見がない。日本としてはこうであり、それに照らし合わせればアメリカのここがよいとかここが悪いとかといったことが日本は言えないでいる。

 アメリカがやることや言うことが正しいことになるのではないのだから、まちがいにたいしては目をつぶったり口をつぐんだりするのではなくてきちんとここがおかしいとかここが悪いと言えるべきだろう。アメリカにたいしてはいと言うだけではなくていいえと言えるのでないとそこに自由があるとは言えず強制があることになる。

 アメリカがこれをやっているからとかこう言っているからといったことで正しさが決まるのであれば、アメリカが言うことを丸ごとうのみにすることになる。それだとこれまでと同じように日本としてはどういった独自の意見を持っているのかが欠けたままだ。中国は悪だとか敵だとかとたとえアメリカが言っているのだとしても、それをそのまま丸ごとうのみにはしないようにして、科学のゆとりを持つようにすることがあってもよいものだろう。

 参照文献 『時代の抵抗者たち』青木理(おさむ) 『うたがいの神様』千原ジュニア 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ) 『現代政治理論』川崎修、杉田敦編 『超訳 日本国憲法池上彰(いけがみあきら)