全域が停電するのを避けるための必要条件や十分条件なのが、泊の原子力発電所を動かすことなのかは、断定はできそうにない(ちがう見かたもとれそうだ)

 北海道の泊にある原子力発電所がもし動いていたらと仮定する。そうであれば、北海道の全域が停電になることはなかった。夏場であったからまだしもよかったものの、これが冬場であったら寒さでもっと被害が出かねない。それがあるので、泊の原発を動かすべきである。動かしておくべきだった。そう述べる人が少なからずいるという。

 北海道で地震がおきて、それで全域が停電になった。このことは、想定外のできごとだったと言われている。これが想定外だったというのはまずいことだろう。いちばん悪いことがおきたらどうするのかを想定しておかないと、危機を想定するさいの手ぬかりになるから、それがないようにしてもらいたいものだ。

 北海道で地震がおきて、全域が停電になったのはあるが、その原因は、泊の原発が動いていないことなのだろうか。もしそうであれば、泊の原発を動かすことが、原因をもとにした解決となる。しかし、北海道の全域が停電した原因は、ほかのところにあるものだろう。ほかのところに原因があり、それへの対処が事前になされていれば、全域の停電がおきるのを避けられたのではないか。

 地震などがおきて、全域が停電しないようにすることと、泊の原発を動かすかどうかは、別々のこととして見るのがふさわしい。それをいっしょくたにしてつなげてしまうと、ちがうことがらが混ざり合ってしまう。まったく関連がないというわけではないにしても、全域が停電しないために、泊の原発を動かすべきだという結論は導かれそうにない。泊の原発を動かすかどうかは、個別に見て行くのがよいものだろう。泊の原発を動かさなくても、全域の停電がおきるのを避けられるのであれば、泊の原発を必ずしも動かさないですむ。