なぜ土石流はおきたのか―なにが原因となっておきたのか

 静岡県熱海市で大きな土石流がおきた。それで山の近くに住んでいた人たちに死者を含めて大きな被害がおきている。

 なぜ大きな土石流がおきることになったのだろうか。山には太陽光発電のメガソーラーがあり、それが関わっていると見られているのがある。ほかには山には盛り土があり、それが関わっているともされる。

 熱海市で大きな土石流がおきたことをどのように見て行くのがふさわしいのだろうか。土石流がおきたことはじっさいにおきた現象だ。その現象がどういった原因によっておきたのかを見て行く。なぜの問いかけをくり返し投げかけることによってできるだけ深いところまで見て行きたい。

 たった一つだけとはかぎらずいろいろな要因によって土石流がおきたことがありえる。いろいろな要因を体系として見て行くようにすることがいる。体系として要因を分析して行く。さまざまな要因をとり上げていって、その中のどれがより根本に近いものなのかを見て行くようにする。

 どういったことがもとになって土石流がおきることになったのかの因果関係は、それそのものは目には見えないものだ。因果関係はそれそのものは目には見えないものだから、取りちがえがおきやすい。

 すべての必要となる条件が満たされる。十分な条件が満たされる。それによって土石流がおきることになった。どのようなことが必要となる条件であり、また十分な条件となるのかがある。それがなければ土石流がおきることがなかったのだとすれば、必要となる条件のうちの一つだ。それが欠けていれば土石流がおきることはなかったことになる。それがあれば土石流がおきることになるのであれば十分な条件であることをあらわす。

 おきるべきではなかったのが土石流だから、それがなぜおきてしまったのかの現象の原因をできるだけ深くまで見て行きたい。現象の原因を深くまで見ていって、核となる原因にたいして手を打つ。表面の現象の浅いところしか見ないで、そこで手を打ってしまうと、まとを外した手を打ってしまう。

 民間のトヨタ自動車で行なわれているように、なぜなぜ五回といったようにして、なぜの問いかけをしつこく投げかけて行きたい。たった一つだけの原因をすぐには見つけづらいから、いくつもの要因をもれがないように見て行く。体系として要因を分析して行く。それで核となる要因を見つけて行き、そこにたいして手を打つ。

 いきなり総合によってたった一つの原因を見つけ出すのではなくて、分析によっていくつかの点に分けるようにして、そのそれぞれを見て行く。いくつかの点に分けた形で、大きな問題を小さく細かく分けて行き、小さい問題にした形でそのそれぞれをとり上げて行く。分析によって問題を小さく分けてとり上げていったほうがやりやすいことがある。

 いきなり総合で原因を探り出すのは難しいことが少なくないから、科学のゆとりをもつようにしたい。まだはっきりとはわからないことについてはさしあたってはカッコに入れるようにしておく。わかっていないこととわかっていることを分けるようにして、わかっていないことについてはとりあえずは間をあけるようにする。

 間をあけているうちに少しはわかってくることもあるから、どうしてもすぐに答えを出さなければならないのでないかぎりは、すぐに原因を探り出すのではなくて、じっくりと見て行くほうが少しはまちがいを避けやすい。ことわざでいういそがば回れ(The longest way round is the shortest way home.)である。

 参照文献 『考える技術』大前研一 『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』戸田山和久 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ) 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき) 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『クリティカルシンキング 入門篇 実践篇』E・B・ゼックミスタ J・E・ジョンソン 宮元博章、道田泰司他訳 『できる大人はこう考える』高瀬淳一