ロシアとウクライナの戦争と、あり方の大変動―あり方の激変

 ロシアとウクライナのあいだで戦争がおきている。

 戦争がおきたことで、ウクライナはどのように変わったのだろうか。

 事前と事後に分けて見てみると、戦争がおきる前とおきたあととでは、ウクライナのありようは変わった。人々のおだやかな日常の生活が壊された。ありようが変わることになったのは、ウクライナに暴力がふるわれたからだ。

 暴力がふるわれることによって、その前とそのあととで、ありようが大きく変わることになる。ありようが激変してしまう。

 事前を見てみると、ウクライナでは、ロシアとのあいだで戦争がおきるとは必ずしも見られていなかった。戦争がおきることは必ずしも確実だとはされていなかったものだろう。

 これから先にどういったことがおきるのかは定かではない。完全に先を見通すことはできづらい。人間は、火山の噴火口の上で、踊りを踊っているようなものだ。鈴木大拙氏は、人間についてをそのように言っていた。

 これから先に、足もとの噴火口が噴火することも知らずに、人間はその上で踊りを踊っている。よいか悪いかの道徳論ではなくて、先のことを正確には知りようがないから、しかたがないところがある。知ることができる情報には限界があり、かたよりや制約がある。

 日本では、ウクライナのように、戦争がおきることはありえるのだろうか。日本では、戦争がおきることは確率としてはそう高くはなさそうだ。戦争がおきる確率はゼロではないにしても、そこまで高くはない。ただ、アメリカが行なう戦争に日本が巻きこまれるおそれはある。

 戦争とは別に、それに準じるようなことが日本でおきることがないかどうかを見てみたい。大きな負のことが生起するかどうかでは、自然の大きい災害や国の財政の破綻があげられる。これらは、日本でこれから先に生起する確率がそれなりにある。

 自然の大きい災害がおきたり、国の財政の破綻がおきたりすれば、日本の国のありようが大きく変わることになる。それがおきる前と、それがおきたあととでは、がらっとあり方が変わることになり、生活が壊される人が多くおきることになる。

 自然の大きな災害は、日本ではいつおきてもおかしくはない。今日にでも、また明日にでもおきてもおかしくはない。日本は自然の災害が多い国であり、地震国だから、大きな自然の災害とは切っても切れない関係に置かれている。

 国の財政の破綻では、それはいっさいおきることはないのだとも言われている。反緊縮の、積極の財政の立ち場からはそう言われている。反緊縮の積極の財政の立ち場からすれば、けしからんと言われてしまうだろうが、日本の国の財政の破綻はけっこうな高い確率でおきるおそれがあると言える。むしろ、おきないほうが不思議なのである。

 日本の国の財政は、ぼう大な借金を抱えている。首が回らなくなっている。国の政治でいる費用のうちで、その半分しか税収がない。あとの半分は借金でまかなっている。ぜんぜん税収が足りていないのだ。国の人口では、高齢者がどんどん増えていて、超高齢の社会となっていて、子どもの数は減りつづけていて、少子化の社会になっている。国の人口のつり合いがひどく悪い。

 国の財政の破綻は、日本ではいつおきてもおかしくはない。いつおきるかの正確な時点をさし示すことはできづらい。いつかはおそらくおきるだろうけど、いつなのかはわからない。

 お金の単位で円が日本では使われている。お金は絶対にたしかな根拠があるものではない。それがそれだからそれであるといった自己循環論法によっているものであり、底に穴が空いている。有ると言えるが無いとも言えるものなのがお金であり、有と無の二重性によって生成されたものだ。無いとも言えるのがお金であり、無つまり紙くずになるおそれがある。

 ウクライナで戦争がおきたことは、日本にとっては対岸の火事だとは言えそうにない。日本でもウクライナと同じように戦争がおきる危なさがあるとは必ずしも言えないが、日本では、戦争のための下準備のようなものがちゃくちゃくと進められているのがある。

 作家の保阪正康氏は、戦争のための下準備となるものを言っている。四つのものがあり、情報の一元化、学校の教育(の右傾化)、官と民による暴力、弾圧の法の体系だ。

 日本の国を見てみると、与党である自由民主党の政権によって、戦争のための下準備が行なわれつづけている。情報の統制が行なわれているのがある。教育が右傾化しているのがある。官と民において暴力が強まっている。国家の公を肥大化させて、個人の私を否定するような法が作られている。憲法の改正を目ざすのはそれに含まれる。

 右傾化がどんどん進んでいっているのが日本の国の政治だから、たとえ日本ではそれほど戦争がおきる確率は高くはないとはいっても、うかうかとはしていられない。気をゆるめることはできづらい。戦争のための下準備はどんどん進められてしまっている。その危なさがあり、それにくわえて、自然の大きな災害や、国の財政の破綻などの危なさもかかえている。

 参照文献 『日本国はいくら借金できるのか? 国債破綻ドミノ』川北隆雄国債暴落』高田創 住友謙一 『国債・非常事態宣言 「三年以内の暴落」へのカウントダウン』松田千恵子 『財政危機と社会保障鈴木亘(わたる) 『そして、メディアは日本を戦争に導いた』半藤一利(はんどうかずとし) 保阪正康(ほさかまさやす) 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『右傾化する日本政治』中野晃一 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき) 『資本主義から市民主義へ』岩井克人(かつひと) 聞き手 三浦雅士 『情報政治学講義』高瀬淳一