れいわ新選組を知ることと、幸福と不幸―れいわを知ることによる不幸もある

 財政の、反緊縮をうったえる。それで、緊縮を批判しているのが、野党であるれいわ新選組だ。

 れいわ新選組が言うように、反緊縮が正しくて、緊縮はまちがっているのだろうか。

 それを知ることによって、幸福になるのではなくて、かえって不幸になった。そういったことがあり、れいわ新選組を知ったことでかえって不幸になった人も中にはいる。それを知らないでいたほうが幸福だったのがあり、知ってしまったことで、不幸におちいる。現実のだめなところや悪いところを知ってしまったがために、苦しむことになる。

 無知であることの幸福(Ignorance is bliss.)がある。これは、合理の無知だ。

 財政では、れいわ新選組が言うように、反緊縮が正しくて、緊縮はまちがっているとするのがある。それを知ったところで、知った人が幸福になるとはかぎらず、かえって不幸になってしまう。知っただけで、(それのみをもってして)すぐに反緊縮の政策がなされるわけではないからだ。

 知つまり知ることと、無知つまり知らないこととがある。この二つのあいだの線引きは、きっちりとは引けそうにない。線が揺らいでいるのがあり、知であるようでいて無知であったり、無知であるようでいて知であったりすること(無知の知)があるものだろう。分かったつもりにおちいっていることがある。

 かりに、れいわ新選組が言うように、反緊縮が正しいのだとしても、それを知ったことだけでは、その政策がなされない。だから、知ってかえって不幸になることが中にはおきてくる。知で不幸になる。知で幸福になるのならよいけど、そうとはかぎらない。

 ぎゃくに、緊縮が正しいのだと仮定してみると、それを知ったところで、幸福にはならないかもしれない。緊縮は痛みをともなうものであり、国民の負担が増える。国民が苦しまなければならないのがあるから、知によって不幸になる。幸福になれることが保証されているものではない。

 たとえ幸福にはならなくて、不幸になるのだとしても、それでも知を選ぶ。不幸になったとしても、知に価値を見いだす。そうであれば、知を重んじることにつながる。そうではなくて、幸福になったほうがよいのだとするのであれば、知ではなくて、無知による幸福(知らぬが仏)もある。無知の合理性もまたあるのだ。

 ものごとを認識するのは、それそのものが幸福につながるのではない。ものごとの認識は、不幸によるのがあって、知が不幸をもたらすところがある。現実のいやなところや悪いところを知ることになるから、知ることによって不幸になるところがある。知らないほうが幸せでいられるのがあり、幸せなのは(都合が悪いことを)知らないでいるだけだといったところもある。

 動物は死ぬことを知らない。ただ現在の時点にだけ生きている。それとはちがって、人間は死ぬことを知っていて、未来を思いわずらう。心ここにあらずといったふうになることがしばしばおきる。人間は死ぬことを知っているからこそ、懸命に生きることができることもあり、懸命に生きる人なのが哲学でいわれる現存在だ。

 どういうことを知ることで不幸になってしまうのかといえば、現実がかんたんに割り切れるものではないことだ。財政でいったら、反緊縮と緊縮があるけど、それらはそうかんたんに割り切れるものではない。どちらかだけが正しくて、もう一方は完全にまちがっているとまでは、基礎づけたりしたて上げたりできそうにない。

 具体ではなくて一般論や抽象論で見てみると、現実のものごとはそうかんたんに割り切れるものではないから、その割り切れなさを知ることによって、不幸になってしまう。不快になってしまう。不幸や不快になってしまい、幸福や快さからは遠ざかってしまうのはあるかもしれないが、そうであったとしても、知をこころざす。知への意思をもつ。知を愛する。哲学(philosophy)の語は、知恵を愛するのや知恵を学ぶことの意味のギリシア語から来ている。真理や真実の探求だ。

 知ることへのこころざしや意思をもつのであれば、あるていどの不幸や不快に耐えるようにすることがいる。そこが難しいのがある。どうしても不幸や不快に耐えられなくなってしまい、ものごとをたやすく割り切ろうとしてしまう。こっちが正しくて、もう一方はまちがっているといった、たんじゅんな決めつけをしやすいから、そこに気をつけるようにしたい。

 参照文献 『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』西林克彦 『これが「教養」だ』清水真木(まき) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『精神分析 思考のフロンティア』十川幸司(とがわこうじ) 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『ポケット図解 構造主義がよ~くわかる本 人間と社会を縛る構造を解き明かす』高田明典(あきのり) 『九九.九%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』竹内薫(かおる) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし)