日本の国にたてつくことをする活動家はいないほうがよいのか―活動家(少数派)は、よくないものなのか

 日本の国がやることのじゃまをする、活動家がいる。

 沖縄県で、日本の政権がつくろうとしている軍事の基地を、作らせないようにしようとして、座りこみをしている活動家やその集団がいる。

 基地だけではなくて、日本の政権がやろうとしていることを、やらせないようにしたりじゃまをしたりする活動家がいるけど、そうした議会の外にいる活動家をどのように見なすことができるだろうか。

 議会の外にいる活動家を、西洋の哲学でいわれる弁証法(dialectic)の点から見てみたい。

 正と反と合によるのが弁証法だ。そのうちで、議会の外にいる活動家は、反に当てはまる。

 日本の政権は、選挙で勝ってその地位についているのがあり、正に当たる。

 選挙で勝って政権の地位についているのではないのが、議会の外の活動家だ。選挙で勝って、政治の権力をにぎっているのではないから、正になることができていないのが議会の外の活動家である。反に当たるのにとどまっている。

 もしも、議会の外の活動家が、選挙にうって出て、それで勝つことができたとすれば、正になることができる。反に当たっていたのから、正になることができたのをしめす。

 かりに選挙で勝って、正になることができたとしても、それにたいする反がおきてしまう。そうしたことがしばしばある。

 基地でいえば、それを作ったほうがよいとするのと、作らないほうが良いとするのがあるから、その二つの立ち場があり、論争になる。

 論争になっているのは、対立がおきていることだ。対立がなければ政治はないから、そこに政治があることをしめす。対立していて、紛争がおきていることになり、正(主体)と反(主体)とがぶつかり合う。まだこの時点では、合の止揚(しよう)にはいたれていない。

 基地を作るのが良いとするのが正になって、作らないほうが良いとするのが反になることがあるし、その逆になることもまたある。逆であれば、作らないほうが良いとするのが正になって、作るのが良いとするのが反になる。

 ばあい分けをしてみると、正と反の二つがあるさいに、正だから正しいとは言い切れそうにない。正は多数派であり、国の政治の権力をにぎっているけど、正がまちがっていることはしばしばある。

 反は国の政治の権力をにぎっていなくて、少数派だ。議会の外にいることもある。少数派である反だからといって、まちがっているとはかぎらず、正しいことを言ったりやったりしていることがしばしばある。

 選挙で勝って、国の政治の権力をにぎっているのが正だから、自分たちがやりたいことをどんどん進めて行きたい。そのじゃまになり、さまたげになるのが反だ。反が言ったりやったりしていることは、正にとってはじゃまになることだから、なんとかして反を排除したい。反を排除したいのが、正の思わくだ。

 かんじんなことは、反が選挙にうって出て、選挙で勝って正になるようにすることだとはいえそうにない。反が正になることができれば、それでものごとがうまく片づくのだとはいえそうにない。何が正になろうとも(どこのだれが選挙で勝とうとも)、何が反であろうとも、正が反を排除しないようにすることがいる。できるだけ反を排除しないようにして、包摂(包括)して行く。

 明らかに、客観や本質といえるような悪や罪を、反に当たるもの(議会の外の活動家など)がやっているのではないかぎり、反が言ったりやったりしていることは認められるべきだろう。

 正つまり日本の国の権力と、反つまり議会の外の活動家が、たがいに対立し合い、ぶつかり合う。そうなっているのだとすれば、正が反を排除するのはよくないことだ。反を排除して、正つまり合としてしまわずに、正と反を共にくみ入れるようにして、その二つをともにしっかりと重んじるようにして、それで合の止揚(aufheben)にもって行く。

 正は、反を排除しないようにして、反を承認するようにして、客むかえ(hospitality)をして行く。よき歓待(かんたい)を行なう。(むずかしいことではあるが)反を遠ざけるのではなくて逆に近づけるような、ふだんの遠近法(perspective)を転換することを行なう。正と反とのあいだで、交通をして行く。交通のやり取りをしていって、よりよいあり方(異交通)を目ざして行くようにしたい。

 選挙に勝って、多数派になったのだから、正は反を排除してよい、といったことは言えそうにない。正が反を排除してしまうと、正つまり合となってしまい、弁証法において、反をくみ入れた形のきちんとした合の止揚にすることができないから、ものごとが片づかず、正と反とのあいだの争点がいつまでも片づかない。

 参照文献 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫現代思想を読む事典』今村仁司編 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『社会問題とは何か なぜ、どのように生じ、なくなるのか?』ジョエル・ベスト 赤川学監訳 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『宗教多元主義を学ぶ人のために』間瀬啓允(ひろまさ)編