いろいろにある中で、どの政党のどの政策が一番よいものなのか―日本の国の行きづまり

 いろいろな政党が日本にはある中で、どの政党の政策がいちばんよいのだろうか。人それぞれによってさまざまに見なせるのがある中で、きびしく見てみれば、どの政党もこれといった新しい政策をつくれていない。新しい政策を打ち出せていない。

 戦争に負けたあとで、日本の国は西洋に追いつき追い越せ(catch up)でやって来た。日本の国の実力であるよりは、外のまわりの状況に恵まれたこともあり、またアメリカに助けられたこともあり、日本の国は経済が大きく成長していった。戦前から引きつづいた、国が上から引っぱって行く官僚制の体制も(ある点においては)うまくはたらいた。戦前から戦後に引きつづいたとされる総力戦体制だ。戦前と戦後がと切れているのではなくて連続しているのだとされる。

 西洋に追いつき追い越せでやって来て、一九八〇年くらいの時点でそれがあるていど達せられた。追いつき追い越せでやって来たのがあるていど達せられたのがあり、そのあとにどうするのかの具体の像がないままでいままで来てしまっている。国としての共通の像が欠けたままになっている。

 一九八〇年の時点であるていどの目標が達せられて、それにいたったのはよいとしても、そこから先がうまく行っていない。目標を達したことで燃えつき症候群(burnout syndrome)のようになっていて、生の意味が欠けることになり、虚無主義(nihilism)がおきている。

 政治においていろいろなことが目ざされているのはあるが、それは虚無主義におちいった中でのものになっている。虚無主義を払しょくすることができていない中で、うわべの表面的なことが目ざされているのにすぎない。はっきりと言ってしまえば、政治において変なことやおかしなことが目ざされているのが目だつ。

 家を建てるのでいえば、まずは基礎となる土台があって、その上に家が建つ。一九八〇年の時点からより以降の日本の国は、家でいえば、基礎となる土台がなくなっている。土台がない中で、家を建てようとしている。科学のゆとりがなくなっているので、まずはじっくりと基礎となる土台をつくって行こうとするゆとりがない。いそいで家を建てようとしている。

 なにかちょっとしたきっかけがあれば、家でいえば、土台を欠いた家のように、日本の国は崩れ落ちてしまいそうだ。これまでに日本の国にはひずみやゆがみがそうとうにたまっているのがあり、それによって不安定さやぜい弱性(vulnerability)をかかえている。

 なにかが爆発するさいには、その爆発の大きさのていどは、どれくらいの圧がたまっているのかに比例するのだとされる。爆発力の大きさは圧縮力の大きさに比例する。いまの日本の国には、そうとうに圧がたまっているのがあり、それが何かのちょっとしたきっかけによって外にいっきに出ようとして、大きな爆発がおきかねない。

 国の財政でいえば、圧がそうとうに大きくたまっているのは、国の借金がそうとうにたまっていることだ。国の財政において圧がそうとうに大きくなっているから、圧に比例した大きな爆発がおきてしまう。小さい圧であれば爆発も小さくてすむが、大きい圧がたまっていると、どれくらいの大きい爆発がおきるのかが予想し切れない。

 戦争に負けたあとに、そうとうに無理をして西洋に追いつき追い越せをやっていって、それが一九八〇年の時点であるていど達せられてしまい、そのあとにどういったあり方でやって行くのかの像を日本はつくれないままでいる。あるべき像を見いだせないままでいる。

 日本の国が追いつこうとしていたもとである西洋には、他者を個人として尊重するような基本となる像があるていどはある。日本にはそれが無いから、それをつくることからやらないとならないけど、それがぜんぜんできていない。

 西洋は個人主義によるのがあり、絶対の主体(absolute subject)によるのがある。これは宗教のキリスト教からくるものである。日本は関係の主体(referential subject)によるのがあり、個人主義よりも集団主義が強い。しがらみにしばられてしまう。集団において不祥事が多くおきることのもとになっている。与党である自民党に不祥事がやたらと多いのはそのためだ。

 日本の国は国としての人々のあいだの共通の像を欠いたままだから、虚無主義におちいりつづけていて、集団主義が強い。集団がまちがった方向に向かってつっ走って行くことに歯止めがかかりづらくなっている。抑制と均衡(checks and balances)がはたらいていなくて、耳に快く響いて受けがよいことや威勢がよいことが通りやすくなっている。

 参照文献 『考えあう技術 教育と社会を哲学する』苅谷剛彦(かりやたけひこ) 西研 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ) 『法律より怖い「会社の掟」 不祥事が続く五つの理由』稲垣重雄