アメリカの新大統領とまえの大統領との共通点と相違点

 新しくアメリカの大統領がジョー・バイデン氏になったらアメリカの国は終わる。まえのアメリカの大統領だったドナルド・トランプ氏が大統領についているのでないとまずい。そう言われているのがあった。

 バイデン氏が新しくアメリカの大統領につくことになったが、それによってアメリカの国は終わってしまうのだろうか。トランプ氏がアメリカの大統領ではなくなったことによってアメリカの国はまずいことになってしまうのだろうか。それについてを共通点と相違点と、価値のちがいによって見てみたい。

 新しくアメリカの大統領についたバイデン氏とまえの大統領だったトランプ氏との二人を比べて見られるとすると、そこには共通点と相違点を見いだせるだろう。そのさいにアメリカにとって他国に当たる中国にたいする姿勢ではバイデン氏とトランプ氏とでお互いに共通点がありそうだ。

 トランプ氏は中国にたいしてきびしい姿勢をとっていたが、バイデン氏もまたそのあり方を基本としては引きつぐのがあるようである。方向性としては中国にたいしてきびしいかまえを崩すことはない。そうしたのがあるようだから、トランプ氏とはうって変わってバイデン氏が中国にたいして(中国が行なっている悪いところにたいして)目をつぶるといったことはなさそうだ。

 アメリカの政治は二大政党制によっているのがあり、二大政党はたがいにまったくちがうものどうしにはなりづらい。そう言われるのがあり、二大政党はたがいに似たようなものになって行くのだという。そこから二つの政党のあいだに共通点ができ上がることになる。あらゆることについてが何もかもすべてちがっているのではないから、たがいに完ぺきにわかり合うことができずに不信感を持ち合うのではないだろう。

 もしも二大政党が互いにあらゆるところが何もかもすべてちがっているのであれば、そもそもの話としてお互いに比べ合うことがなりたちづらい。お互いに比べ合えるのは、似たところがあるからである。似たところがあるうえで、その中でちがいがあることによって比べ合える。まったく質がちがっているものどうしだったら比べ合う意味がない。たがいに接点がなかったり次元がちがっていたりすると比べ合えないしぶつかり合えない。ちがいを持っていてぶつかり合っているものどうしであったとしても部分や要素としては共通性をもつ。そうしたことがあり、そこからたがいに相互作用がはたらく。

 おたがいのあいだに相互作用がはたらくのがあるとすると、いっけんするとたがいの政党どうしがはげしくぶつかり合っているようであったとしても、じっさいには重なり合うところもある。共通点もまたある。価値がまったく正反対とはいえなくて、価値を共有し合うところが部分的にはある。じつはそんなにちがい合っているのではないといったことがあり、小さいちがいが針小棒大のようになり強調されすぎてしまう。それぞれのもつちがいをカッコに入れて、うんと引いた大局のところから見てみればそれぞれは互いに同じようなものとして映る。

 対立がなければ政治はないのがあるから、お互いの政党どうしが争い合うのは避けづらい。お互いに争い合うのはあるものの、協調し合うところもまたなければならない。おたがいのあいだに相互作用がはたらくことをくみ入れるようにして、協調し合うところがあるようにしないとただ対立し合うばかりになってしまいかねない。

 社会がきちんと営まれるためにはたがいの対立が激化しすぎないことがいる。対立が激化しすぎると社会契約論でいわれる自然状態(natural state)において万人の万人にたいする闘争に終わりがこない。それを社会状態(civil state)にするためには対立し合うものどうしがどこかで折り合いをつけて弁証法において止揚(aufheben)しなければならない。正と反を合にして行く。

 はげしい対立になりすぎることによって自然状態が引きつづく。戦争状態が引きつづく。そうなると社会にとっては損や害がおきることになるから、それを避けるようにしたい。人間は虚栄心によってつき動かされてしまうところがあり、それに歯止めがかかりづらいのがあるとされる。自分が死ぬおそれがおきるところまで行きつかないと理性の反省ができづらい。思想家のトマス・ホッブズ氏はそれを言っているのがあり、そこに気をつけるようにしたい。あまり虚栄心の感情によってつっ走りすぎないようにして、できるかぎり科学のゆとりをもつようにすることが大切だ。

 参照文献 『絶対に知っておくべき日本と日本人の一〇大問題』星浩(ほしひろし) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『信頼学の教室』中谷内一也(なかやちかずや) 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ) 『心理学って役に立つんですか?』伊藤進 『現代政治理論』川崎修、杉田敦編 『スター・ワーズ 星新一の名言一六〇選』江坂遊(えさかゆう)