世帯に布マスクが二枚ほど配られることと、出力されるものとしての政策

 政権は、世帯にたいして布マスクを二枚ほど配っている。布マスクはウイルスを防ぐ有効性が高くないとされる。これに税金が四〇〇億円以上使われている。

 この具体の政策を、政治システムにおいてとらえるとすると、出力されたものとして政策を見なせる。

 自動販売機になぞらえるのは適していないかもしれないが、自動販売機でいうと、お金を機械に入れてのぞんだ商品が出てくる。入力と回路と出力の流れだ。

 政治でいうと、有権者の声や税金の入力があり、回路の中を経て、出力として政策が出てくる。

 自動販売機にお金や声を入れて、その機械の中から出力として出てきたものが世帯ごとの布マスクが二枚という結果である。きびしく言うと、機械の中から必ずしものぞましくはない変な商品が出てきたことになる。

 出力として出てきた政策の結果だけをとり上げると、世帯ごとに布マスクが二枚ほど配られるというものである。それから流れを逆にたどって見てみると、いったいどういう回路の中を経ているのかや、どういう入力によっているのかがいぶかしい。

 まともな入力やまともな回路の中を経ていたら、出力として世帯ごとに布マスクが二枚ほどという政策が出てはこないのではないだろうか。入力におかしいところがあるのや、回路におかしいところがあるのだと見なせる。入力や回路に少しもおかしいところがないのだとすれば、出力として世帯ごとに布マスクが二枚ほど配られるという政策は出てはきそうにない。

 参照文献 『ポリティカル・サイエンス事始め』伊藤光利