募ることと募集すること―同義語だととらえられる

 桜を見る会とその前夜祭についての疑惑が国会においてとり上げられた。そこで首相は変な答え方をしたという。

 会に招待する人を幅広く募っているという認識ではあったが、募集しているという認識ではなかった、と首相は言ったそうだ。

 募るというのと募集するというのは、使われている漢字が同じだ。募集というのを見てみると、募ると集めるとからなる。これは共に似たような意味だ。

 漢字の熟語の構成は五つの種類があるという。このうちで、募集というのはたぶん補足に当たる。二つの字が相補い合っているものだ。構成では補足のほかには主従と修飾と並列と認定があるという。

 募ってはいるが募集はしていないというのは、いわば、日本人ではあるが日本人ではないというようなものだろうか。矛盾していることになる。

 文字にしてみるとわかりやすいが、口にするさいには、視覚ではなくて聴覚だから、募ると募集するとがちがうものであるという認識になったのかもしれない。和語と漢語のちがいがある。

 いい加減な受け答えやごまかしの答え方はできるかぎりやめてもらいたいものだ。国の政治に関わることなのだから、国の政治の権力はできるだけ汚染された情報をばらまかないようにしてもらわないと、国民の利益を損なう。その点については怒りがつのるばかりだ。

 参照文献 『情報汚染の時代』高田明典(あきのり) 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『文章トレーニング』白井健策