台風における区の避難所の対応と社会的包摂

 強い台風がやって来ていたときに、ホームレスの人が、避難所で避難するのをこばまれた。

 東京都の台東区の避難所は、ホームレスの人が避難するのをこばむ対応をしたが、この対応について批判が投げかけられている。区の対応として、ホームレスの人が避難所で避難するのをこばむ対応は改めて見ればまずいところがあった。

 区の対応を批判するのであれば、自分がホームレスの人を自宅にまねけばよい。自分の自宅に受け入れて避難させればよい。そうしたことがツイッターのツイートで言われていた。

 区の対応を批判した人は、自分の自宅にホームレスの人を受け入れて避難させなければならないのだろうか。これだと話がおかしくなってしまう。区の対応を批判した人が、区に受け入れを断られたホームレスの人たちのことを個人で引き受けなければならなくなるからである。

 区の対応を批判することは、一つの論点だ。そのことと、区に受け入れを断られたホームレスの人を自分の自宅に受け入れなければならないこととはまたちがう論点だ。

 問題の所在としては、とりわけ緊急のときには、自分の身を守るために社会の助けが誰にでも等しく利用できるようであるべきなのがある。とくに緊急のときくらいは、人を選別するのではなくて、社会の助けが誰にでも等しく利用できるようであることが、温かい社会であるためには欠かせない。

 自己責任の文脈で見ないのだとすれば、社会から排除やはく奪されているのがホームレスの人たちや生活に困っている人たちだから、それを改めるようにすることがいる。そうした社会の問題を、特定の個人だけが負担として引き受けなければならないというのではなくて、社会の全体で改めて行くべきことだろう。個に焦点を当てるというよりは、個をとり巻く外の状況である社会の問題に焦点を当てるという視点である。社会の福祉が関わってくることがらだ。

 参照文献 『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』阿部彩(あべあや) 『社会福祉とは何か』大久保秀子 一番ヶ瀬(いちばんがせ)康子監修