LGBT の性の少数者である人たちを批判したら変なことになる。変なことになるので、(批判をしないほうが)よいのはたしかだ。しかし、性の少数者の人たちばかりになったら国がつぶれてしまう。与党である自由民主党の議員は、集会でそう言ったと報じられている。
東京都の世田谷区は、同性婚の婚姻を認めたが、これを先進区と自慢するのはよくわからない考えだ、と自民党の議員は語っている。
自民党の議員は、少子化のことについてを話したさいに、性の少数者のことについてを触れたようだ。少子化の話をするさいに、性の少数者のことを持ち出すのは、話がすり替わっているのではないだろうか。
性の少数者のことを持ち出すのであれば、一般として見れば、少数者の権利をとるようにするのは社会の中では重要なことがらだ。社会の中でできるだけ少数者の権利をとれるようにすることが、政治家の努めなのではないだろうか。
性の少数者ばかりになったら国はつぶれると言うが、これはもうひとつよくわからない想定だ。国がつぶれるのだとしたら色々なことによるのであって、それを一つひとつできるかぎり防ぐのが政治家の努めだろう。現実には、権力に近い政治家があまりにも愚かだったりおかしかったりするために、国がつぶれてしまうおそれは決して低くはない。
少子化と国がつぶれるのとはまったく同じわけではない。少子化ではあってもいまのところ国がつぶれてはいないし、国の中で性の少数者ばかりになっているのではないのがある。性の少数者は多数派ではなくてあくまで少数者にとどまっている。多数者も生きやすくて、少数者も同じように生きやすいようになってほしいものだ。
少子化の現象を何とかしたいのであれば、そこに性の少数者のことをからめるのは適したことだとは言いがたいものだろう。それらは別々なものであって、それぞれに改めるようにできればよい。少子化にたいして有効な手だてが打ちづらいからといって、ほかのことをとり上げてやり玉にあげるのはごまかしにしかなりそうにない。特効薬や即効薬はあるとは言えず、社会を着実に少しずつよくして行くしかないだろうが、いまの首相や権力に近い政治家にそれをのぞむことはきわめて困難だ。