理不尽に生徒からお土産をとり上げた国は、ひろく国民一人ひとりにたいして、人を人とも思わないようなことをしているのだと言うことができる

 朝鮮へ旅行に行った生徒たちが、お土産をもって帰ってくる。そのお土産を、関西空港の税関は没収したという。お土産を没収された朝鮮学校の生徒たちは、つらい思いをして、泣き崩れる生徒まで出たという。あまりにひどいしうちである。

 税関は生徒からお土産を没収したわけだが、これは北朝鮮への経済制裁のためであるという。経済産業省の許可がないと輸入品は日本に持ってくることができないとしている。そうであるのなら、経済産業省はなぜ例外として特別に許可をしないのだろうか。許可をしないのはおかしな話である。許可をしないのならしないということで、事前に生徒たちに言っておかないとならない。

 北朝鮮への経済制裁のために、輸入品を日本に持ってくるのを禁じているとのことだが、それは国と国とのことがらであって、人間としての生徒には何の罪もないものである。何の罪もない生徒にひどいしうちをするのは、ほめられたことではなく、日本の国がまちがったあり方をしているのを示している。

 せっかく朝鮮へ旅行をしたのにもかかわらず、そこから日本に帰ってきて、もらってきたお土産を日本の税関でとり上げられてしまい、生徒たちはどれほどのつらい思いをしたことだろう。それをおもんばかるのは偽善ではないものだろう。朝鮮学校の生徒たちに日本の税関がしたしうちは、生徒たちに限定されることではなく、広く日本の国民の全体に当てはめられるものである。生徒たちに限ったことではなく、日本の国のあり方として、国民一人ひとりのことを十分に生かすようにはなっていないことをあらわしている。人の心をふみにじるようないちじるしい不正義を国はなしたのだと言わなくてはならない。