東京都でウイルスに感染する人が増えている

 東京都では、新型コロナウイルスに感染する人が増えている。東京都知事小池百合子氏は、検査する数を増やしたから感染する人が増えていると言っている。

 東京都でウイルスに感染する人が増えていることについて、圧倒的に東京問題であるのにほかならないと官房長官は言っていた。あくまでも東京都の問題であって、国はそれには関わりがないのだとしたいようである。

 官房長官が言うように、東京都でウイルスの感染が増えているのは、たんに東京都だけが悪いのであり、国はまったく悪いのではないのだろうか。東京都だけが何とかすればよいことであり、国はまったく他人ごととしていてよいのだろうか。

 官房長官が言っていることからは、いまの首相による政権のあり方がよく見てとれる。いまの政権は、手がらは無理やりにでも自分たちのものにして、悪いことはほかのもののせいにする。よいことであればたとえ政権とは関わりがないことであっても関わろうとして、悪いことであれば政権と関わりが深いことであってもとかげのしっぽ切りのように切り離す。

 東京都は日本の首都なのだから、ウイルスの感染が東京都で増えていることを圧倒的に東京問題だと言ったとしても、それを日本の問題だと言っても同じことだろう。人間の体でいうと、心臓や脳の調子がおかしいさいに、それはたんに心臓や脳だけに限定されるのではなく、体の全体がまずいと言ってもよい。

 東京都の問題ということでは、事前と事後に切り分けてみたい。ウイルスの感染がおきる前に、首都を移転することや、首都の機能を分散させておくことをもっとやっておいたほうがよかった。それを探っておくようにするべきだった。危機管理においては、危険性を分散(リスクヘッジ)させておくのが言われている。それができていなくて、あまりにも多くのことが東京都に集中しすぎているために、効率性は高いものの、ぜい弱性も高くなっている。ウイルスの感染がおきる前にやっておくべきことが行なわれていなかったために、東京都でのウイルスの感染のやっかいさがより増していると言えるのがあるとすると、それは国の政治のまずさでもある。

 参照文献 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』増田寛也(ひろや)