桜を見る会と、与党と野党の対立―二極によるのと三極(多極)によるのがある

 桜を見る会で、旧民主党の政権もまた、反社会勢力をまねいていたという。そうであることから、野党にブーメランが返ってきた、というふうにツイッターのツイートで言われていた。

 民主党のときにも桜を見る会で反社会勢力をまねいていたのだから、いまの与党である自由民主党の政権の桜を見る会についての疑惑を追及するのは、たんなる時間と労力の無駄になったのにすぎない。そうした声が言われていた。

 たしかに、民主党の政権のときにも、桜を見る会で反社会勢力をまねいていたのであれば、それはよくないことだろう。それは批判されるべきことになる。そのさいに、問題を分割するようにして、いっしょくたにしてしまわないようにしたい。論点を分けたほうが分かりやすくなる。

 論点の一つとしては、いまの与党である自民党の政権の、桜を見る会についての疑惑があるのであって、そこに民主党のときのことを引き合いに出すと、論点が混ざってしまう。

 民主党のときの論点を混ぜてしまうと、民主党に属していた野党の議員は、いまの時の政権のことを責められないというふうに、発言者と発言とをつなげる見かたがとられることになる。

 発言者が駄目だから発言もまた駄目なのだというのは、適した見かただとは言えず、あくまでもいまの時の政権の桜を見る会についての疑惑に論点をしぼったさいには、発言者が誰かというのはとくに発言の内容には関わってはこない。

 与党と野党が対立しているさいに、与党は悪いけど野党もまた悪かったというのは、二つのものどうしを引き比べている。これは二極による比較だ。そうではなくて、三つ以上によって見ることがなりたつ。

 野党とはいっても、そのすべてが民主党に属していた議員によるのではなくて、ほかの党の議員もまた少なくない。なので、与党といったら自民党で、野党といったら民主党だとは言えず、二極で見るのではなくて三極(以上)で見るほうが現実的だろう。桜を見る会について、おかしいところがあることをとり上げたのは、共産党によるのであって、野党とはいっても、民主党の手がらだとは言えないだろう。

 参照文献 『増補版 大人のための国語ゼミ』野矢(のや)茂樹 『日本の刑罰は重いか軽いか』王雲海(おううんかい) 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信