フタと穴―穴におおいがしてあって遮蔽(しゃへい)されている

 穴に蓋(ふた)がされている。覆(おお)いがしてある。

 いまの与党である自由民主党は、党そのものが蓋になっているのではないだろうか。党やいまの時の政権はそれそのものが蓋と化している。それによって色々にある穴つまり問題が見えづらくなっている。隠されている。

 蓋があることには正と負の二つの面があって、蓋があるから穴を見ないですむというのがあるが、それを逆から見ると、穴があることが見えなくなってしまっている。正と負のどちらの面もあわせもつ。

 蓋は虚偽意識だという見かたがなりたつ。蓋は虚偽意識としてはたらくので、穴があっても無いことにしたり、それを認めようとしなかったりする。穴が無いことにしたり認めなかったりするためにはたらくのが虚偽意識である蓋である。

 蓋のことをよしとするのが、権力に迎合することだとすると、それにたいして、穴が空いていることをさし示すのは、権力に歯向かうことになる。蓋のことをよしとするのは権力の奴隷だが、権力に歯向かうことは毒(毒つまり薬)である。

 蓋の存在理由(レーゾンデートル)というのは、蓋があることそのものであって、穴があることを分からせないようにすることだから、穴があることをさし示されるとまずいのだ。だから、穴をさし示すつまり権力に歯向かうと、わきに追いやられることになる。煙たがれるのである。

 参照文献 『理性と権力 生産主義的理性批判の試み』今村仁司